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雑誌目次

雑誌文献

胃と腸49巻2号

2014年02月発行

雑誌目次

今月の主題 日本食道学会拡大内視鏡分類 序説

日本食道学会拡大内視鏡分類

著者: 幕内博康

ページ範囲:P.135 - P.136

はじめに 消化管の拡大観察は,竹本(1966)1)の近接拡大観察に始まり,奥山ら(1967)2)が拡大内視鏡を開発して以来,広く行われるようになった.食道の拡大内視鏡観察は,神津ら(1975)3)によって始められ,佐野ら(1974)4),田中ら(1986)5)によっても種々試みられた.筆者ら(1991)6)も犬を用いた実験食道癌で初期小病巣の発見を試みたが,小びらんの良悪性の鑑別は困難であった.また,竹本の示唆により,臨床例で食道表在癌の拡大観察を行い,(1) 表面構造,(2) 上皮下血管網(消失・途絶,口径・走行の乱れ,異常血管の新生,不整点状出血斑),(3) 色素染色後の観察などを検討したが,その困難性( (1) 内腔の狭小,(2) 動きが激しい,(3) 重層扁平上皮,(4) 粘膜上皮を被る病巣など)によりまとめることができず,将来は早期微小病巣の拾い上げ,良悪性の鑑別,T1a-EPとT1a-MMやT1a-MMとT1b-SMの深達度診断,粘膜癌での脈管侵襲やリンパ節転移の有無,SM癌の予後などの診断に寄与するだろうと述べた.

 その後,拡大内視鏡機器は著しく進歩し,食道では,Inoueら(1996)7)が粘膜上皮の乳頭内毛細血管のループ(intra-epithelial papillary capillary loop ; IPCL)の観察を行い,さらに早期癌でのIPCLの変化について報告(1997)8)したことは画期的であった.有馬(秀)(1998)9)も同時期に食道粘膜の拡大観察に取り組み,博士論文にまとめており,Arima Mら(2005)10)も食道表在癌の微細血管について検討を行い,特にAVA(avascular area)に注目した.それぞれ,井上分類,有馬分類として発表され,画像強調の普及も相俟って広く注目されるに至った.食道表在癌の発育進展が,微細血管の観察により検討できるようになったことは一大変革であり,食道癌内視鏡診断医にとって大きな喜びであるとともに,患者に福音をもたらすものであると考える.

主題

内視鏡観察に基づいた食道の血管構築

著者: 井上晴洋 ,   池田晴夫 ,   佐藤千晃 ,   佐藤裕樹 ,   鬼丸学 ,   山口紀子 ,   伊藤寛晃 ,   工藤進英 ,  

ページ範囲:P.137 - P.147

要旨 食道における拡大内視鏡による表在血管の観察は,扁平上皮の異型度を推定しうるし,また,扁平上皮癌の深達度や浸潤態度を予測できることから注目される.正常な表在血管は,“粘膜下層の静脈”,そして主に“粘膜筋板の直上に存在する樹枝状血管網”から“斜走血管”,そして“IPCL(上皮乳頭内血管ループ,1996年に報告)”から構築される.これらの内視鏡観察所見と病理所見と対比しながら提示した.また,最新の知見であるSECN(上皮下血管ネットワーク)の内視鏡的・解剖学的位置付けを示した.IPCLとSECNは上皮基底膜の直下に接しているという意味では,終末毛細血管として同一の立場にある.ただし,IPCLは上皮の乳頭内に突出して存在することから,上皮乳頭の構造異型を如実に反映する.特に上皮内癌では,IPCLは四徴(拡張・蛇行・口径不同・形状不均一)を呈する.一方,SECNは上皮の蹄脚(rete ridge)の下に位置することから,INFcの浸潤態度を呈するような癌で特徴的な変化を示す.いずれにしても,IPCLあるいはSECNを指標とした場合,上皮の異型度診断と癌組織の発育進展に関連して特徴的な変化を示す.特にIPCLの血管外径の変化は客観的指標であり,詳細に報告する.

日本食道学会拡大内視鏡分類

著者: 小山恒男

ページ範囲:P.148 - P.152

要旨 日本食道学会では,一般会員が使用しやすい,より簡略化した拡大内視鏡分類を提唱した.本分類では食道扁平上皮における基本的な血管構造であるIPCLに注目し,異常血管がループを保っている場合をB1,ループが消失している場合をB2,B2の3倍以上(60μm以上)の太い異常血管をB3と表記し,深達度診断へ応用した.また,無血管野(avascular area)をsmall,middle,largeへ亜分類し,深達度診断へ応用した.本稿では日本食道学会分類の基本を述べ,今後の課題に関して言及した.

日本食道学会拡大内視鏡分類と深達度―鑑別・深達度診断におけるB1血管の意義

著者: 土橋昭 ,   郷田憲一 ,   小林寛子 ,   小林雅邦 ,   加藤正之 ,   炭山和毅 ,   豊泉博史 ,   加藤智弘 ,   廣岡信一 ,   池上雅博 ,   田尻久雄

ページ範囲:P.153 - P.163

要旨 食道扁平上皮癌の拡大内視鏡分類である井上分類・有馬分類を基本とし,ふたつの分類の融合・簡略化を目的として,日本食道学会分類が作成された.Type B1は扁平上皮癌の質的診断(B1以上で癌)や深達度診断(T1a-EP,LPMに相当)において,基点となる重要な血管である.Type B1の質的・深達度診断における臨床的妥当性について検討した.対象は,当科にてNBI拡大観察後,内視鏡的切除術が行われた249病変とした.Type Bの癌(質的診断)に対する感度は97.6%,陽性的中率は99.0%,Type B1のT1a-EP,LPM(深達度診断)に対する感度は91.7%,陽性的中率は88.5%であり,高い診断精度(質的・深達度診断)を有していた.日本食道学会分類Type B1に基づいた拡大内視鏡診断の臨床的有用性が示唆された.

日本食道学会拡大内視鏡分類と深達度―深達度診断におけるB2血管の意義

著者: 竹内学 ,   橋本哲 ,   小林正明 ,   渡辺玄 ,   水野研一 ,   佐藤祐一 ,   味岡洋一 ,   青柳豊

ページ範囲:P.164 - P.172

要旨 日本食道学会分類B2血管の深達度正診率につき,prospectiveな検討を行った.2年4か月の期間にB2血管と診断した35病変を対象とした.関心領域での病理組織学的深達度は,pT1a-EP/LPMが3病変,pT1a-MM,pT1b-SM1が23病変,pT1b-SM2が9病変であった.AVA-largeを呈したpT1b-SM2の1病変を含め,その正診割合は68.6%(24/35)であった.また,特異度は94.1%と高いが,感度は75.0%とやや低い傾向にあった.誤診例には,ループ形成に乏しい血管の判断が難しい症例,B2血管と判断しても血管径が細い症例や領域が小さい症例が存在し,今後はこれらの所見と深達度の関連を詳細に検討する必要がある.さらに現在この分類の正診率に関して多施設共同前向き研究を開始している.

日本食道学会拡大内視鏡分類と深達度―深達度診断におけるB2血管の意義

著者: 藤原純子 ,   門馬久美子 ,   立石陽子 ,   長尾知子 ,   剛崎有加 ,   三浦昭順 ,   加藤剛 ,   出江洋介 ,   比島恒和 ,   吉田操

ページ範囲:P.174 - P.185

要旨 2011年1月から2013年7月までにESD/EMRを行った食道表在癌241病変を対象に検討を行った.深達度診断の成績は,T1a-EP/LPM癌95%(163/171),T1a-MM/T1b-SM1癌62%(21/34),T1b-SM2以深癌67%(10/15)であった.治療当日にNBI拡大観察を行った97病変で観察された血管の感度,特異度はそれぞれB1:82%,95%,B2:86%,53%,B3:25%,100%であり,B2血管の特異度の低さが問題であった.さらに,B2血管を認め,ESD/EMR後に血管と病理組織像が対応可能であった24例を検討したところ,(1)パターンa:腫瘍胞巣間の間質を走行する血管(2)パターンb:bulkyな腫瘍塊を取り囲む血管(3)パターンc:乳頭状増殖する隆起性病変にみられる血管(4)パターンd:びらんや再生性変化の周囲に出現する炎症に伴う血管の4タイプに分類され,その多様性のためにT1a-MM/T1b-SM1診断におけるB2血管の特異度が低くなっていた.0-II型病変において,びらんなどの再生性変化の周囲にみられるものを除き,病変内の厚みのある部位にB2血管を認める場合,組織学的にはパターンaをとり,腫瘍浸潤態度を反映する.しかし,癌がT1a-MM以深に深部浸潤しても,表層100μmの浅層に認められる血管パターンは同一であり,拡大観察のみで先進部の情報をすべて得ることは難しい.通常観察とNBI拡大観察所見に乖離がある場合,EUSなど腫瘍深部の情報が得られる検査を行い,総合的に判断することが重要である.

日本食道学会拡大内視鏡分類と深達度―深達度診断におけるB3血管の意義

著者: 池田晴夫 ,   井上晴洋 ,   佐藤裕樹 ,   佐藤千晃 ,   鬼丸学 ,   山口紀子 ,   濱谷茂治 ,   工藤進英

ページ範囲:P.186 - P.195

要旨 本稿においては,B3血管のSM2以深浸潤病変の予測に対して,診断能の検討を行った.当センターにて2001年7月~2013年6月までに内視鏡的・外科的治療を行い,拡大内視鏡所見の検討が可能であった464病変を対象とした.B3血管の感度,特異度,PPV,NPV,正診率はそれぞれ56.9%,99.5%,95.3%,92.6%,92.6%であった.B3血管はほぼ確実なT1b-SM2以深への浸潤を予測する所見であると考えられた.しかし,T1b-SM2以深浸潤癌の45.1%の症例においてB3血管が陰性であり,主にB2血管を有する症例に対する診断ストラテジーの確立が課題である.

日本食道学会拡大内視鏡分類と深達度―深達度診断におけるAVAの意義

著者: 平澤大 ,   藤田直孝 ,   前田有紀 ,   大平哲也 ,   原田喜博 ,   小池良樹 ,   鈴木憲次郎 ,   山形拓 ,   田中恵 ,   山田怜奈 ,   野田裕

ページ範囲:P.196 - P.203

要旨 2011年に公表された日本食道学会分類には,付記事項としてAVA(avascular area)が記されている.AVAはType Bで囲まれた無血管もしくは血管が疎な領域と定義され,大きさごとに深達度が異なるとされている.今回,筆者らはAVAの有用性と必要性を検証することを目的に検討を行った.AVAは126病巣中29病巣(23.0%)で確認できた.AVA-smallが22病巣,AVA-middleが6病巣,AVA-largeが1病巣であった.AVAは病変径が大きいほど,また深達度が深いものほど出現しやすい傾向を認めた.AVA-smallの95%がT1a-EP~LPM,AVA-middleの80%がT1a-MM~T1b-SM1で,日本食道学会分類に記されたAVA深達度の正診率は92.3%と高かった.AVA辺縁の血管は,T1a-MM~T1b-SM1を示唆する非ループ状のType B2がほとんどであるが,AVA-smallの場合,T1a-EP~LPMにとどまる場合が多い.Type B2であっても,AVA-smallの場合は深達度診断を一段浅く診断することが妥当であり,深達度診断の観点からAVA診断の臨床的な意義は高いと考えた.

表在食道癌の深達度診断におけるAVAの意義

著者: 石原立 ,   青井健司 ,   松浦倫子 ,   伊藤貴史 ,   山階武 ,   山本幸子 ,   鼻岡昇 ,   竹内洋司 ,   東野晃治 ,   上堂文也 ,   飯石浩康 ,   竜田正晴 ,   冨田裕彦 ,   石黒信吾

ページ範囲:P.204 - P.211

要旨 日本食道学会分類でAVA(avascular area)は,Type B血管に囲まれた無血管領域,もしくは血管が粗な領域と定義されている.当センターにおいて食道癌の内視鏡切除を行った症例を対象に,AVAの有用性を検討した.AVAは8.4%(46/547病変)にみられた.AVAがみられた部分の深達度を検討したところ,pT1a-EP/LPM癌,pT1a-MM/T1b-SM1癌,pT1b-SM2癌における正診率は,それぞれ80.6%(25/31病変),76.9%(10/13病変),50.0%(1/2病変)であった.AVAの診断で重要な点は,AVAを囲む血管がloop血管かnon-loop血管かを鑑別することである.一方,AVAを用いた場合,小範囲での浸潤例や,上皮内癌および基底膜が保たれたまま浸潤する症例の診断は困難であった.

日本食道学会拡大内視鏡分類と深達度―Type R血管と組織像

著者: 有馬美和子 ,   都宮美華 ,   吉井貴子 ,   田中洋一 ,   黒住昌史 ,   石川文隆

ページ範囲:P.213 - P.221

要旨 日本食道学会拡大内視鏡分類の付記1“不規則で細かい網状(reticular:R)血管を認めることがあり,低分化型扁平上皮癌(por SCC),INFc,特殊な組織型を示すことが多いので,Rと付記する”を検証するべく,低分化型,INFc,特殊な組織型を示す病変の血管像を見直し,Type Rの特徴を再検討した.食道表在癌316病巣中,por SCC,特殊な組織型,INFcを示した病変は45病巣あり,このうち16病巣(35.6%)にType Rと判定される血管が観察された.Type Rの特徴として,褪色調の領域を作って血管密度が低いこと,極めて細いチリチリした網状の形態を示すこと,口径不同が著しいこと,loop構造の名残がないことが挙げられた.病理組織像は細かい蜂巣がバラバラに浸潤する病変でType Rを示すことが多く,por SCCやINFc,特殊な組織型を示した病変のうち,浸潤性の病巣が表層に露出している(しかかっている)病変が,Type Rとして認識されていると考えられた.

座談会

症例検討からみた日本食道学会分類の現状

著者: 門馬久美子 ,   小山恒男 ,   有馬美和子 ,   大森泰 ,   大倉康男 ,   井上晴洋

ページ範囲:P.223 - P.238

症例検討からみた日本食道学会分類の現状

 小山 本日はお忙しい中ご出席いただきありがとうございます.本号の特集「日本食道学会拡大内視鏡分類」に関する座談会を企画させていただきました.司会は小山が担当させていただきます.よろしくお願いいたします.

 座談会のテーマは「症例検討からみた日本食道学会分類の現状」です.この分類は本日お集まりいただいたメンバーで作成した分類ですが,実際に使っていくうちにいろいろと問題点が明らかになってきました.今日はそのあたりを中心にお話しいただければと思います.

 この分類は,十数年前からの大変膨大な資料を使った研究のうえで作成されました,井上先生と有馬先生の分類がベースにございます.それらを日本食道学会の一般的な先生方にも比較的使いやすく,もう少し簡便なものができないかということで,日本食道学会前理事長の幕内先生の号令で,門馬先生と私が音頭を取り,先生方にご指導いただきながら作成したもので,われわれより一世代若いメンバーにも活躍していただきました.

 この分類は,最近では非常によく使われていますが,多少困っていることもございます.そのひとつが,B1に分類するのか,B2に分類するのか迷う症例があるということ.もうひとつは,SM massiveの指標になっているAVA(avascular area)-largeとB3の出現頻度が低いということです.そのあたりをどう考えたらいいのかを最初にご討論いただければと思います.テーマにもある通り「症例検討からみた」ということで,先生方に症例をご用意いただきました.ではまず門馬先生,お願いします.

早期胃癌研究会症例

間質反応により特異な形態を呈したIs+IIc型進行大腸癌の1例

著者: 井浦登志実 ,   大谷博 ,   小林広幸 ,   渕上忠史 ,   富安孝成 ,   及川圭祐 ,   松本主之

ページ範囲:P.239 - P.246

要旨 患者は60歳代,男性.腹痛を主訴に来院し,大腸内視鏡検査でS状結腸にIs+IIc型病変を認めた.病変はコブ状隆起と不規則な皺状の溝が特徴的であり,ひだ集中と頂部の不整な陥凹を伴っていた.NBI拡大観察では基部に正常のvascular patternが認められ,陥凹部は佐野分類のIIIB,広島分類のC3と判断された.クリスタルバイオレット染色後の拡大観察で陥凹部以外の腫瘍表面はI型,陥凹部はVN型pitを呈した.さらに,注腸X線で台状変形を認めたことからSM深部以深癌と診断し,腹腔鏡下S状結腸切除術を施行した.病理組織学的所見では中~高分化腺癌と低分化腺癌が混在し,SSまで浸潤していた.また,コブ状隆起は粘膜下層で膨張性に増殖する分化型腺癌による粘膜挙上,皺状の溝は微小乳頭癌の成分を含む低分化腺癌に随伴する間質反応により,粘膜が引き込まれて生じたものと推察された.

消化管組織病理入門講座・8

【大腸】潰瘍性大腸炎と癌―典型的な組織像(活動期,寛解期,dysplasiaと癌)

著者: 西上隆之 ,   沖村明 ,   西井真 ,   樋田信幸 ,   三富弘之 ,   藤盛孝博

ページ範囲:P.248 - P.254

はじめに 潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis ; UC)*1患者数は,2011年には13万人に達している1).毎年約5,000人の増加がみられる疾患である.従来は専門病院に集中していたUC患者が増加するにつれ,炎症性腸疾患の専門外の医師でも診療する機会が増えてきた.また,病理医も同様に,炎症性腸疾患に精通していなくても診断する機会が増加している.したがって,UCについて臨床医は病理組織像に,病理医は臨床像および内視鏡像に精通し,正確な診断をすることが大切である.

 UCの診断にはまず,持続性または反復性にみられる粘血・血便の臨床症状が大切である.また,内視鏡および注腸X線検査においては,直腸下部から連続性・びまん性の障害が重要な所見である.さらに,生検組織学的所見としては,活動期では粘膜全層にびまん性炎症細胞浸潤,陰窩膿瘍,高度な杯細胞の減少が認められる.寛解期では腺管の配列異常(蛇行,分岐),萎縮が残存する.これらの病理学的所見はいずれも非特異的なので,内視鏡所見と生検部位の把握は不可欠であり,総合的な判断が最も重要である.また,アメーバ赤痢*2をはじめとする感染性腸炎やCrohn病*3など除外診断も必要である.

早期胃癌研究会

2013年9月の例会から

著者: 岩男泰 ,   梅垣英次

ページ範囲:P.256 - P.260

 2013年9月の早期胃癌研究会は2013年9月18日(水)に笹川記念会館2F国際会議場で開催された.司会は,岩男泰(慶應義塾大学病院予防医療センター),梅垣英次(大阪医科大学第二内科),病理は根本哲生(東邦大学医療センター大森病院病理診断科)が担当した.また,セッションの間に,第19回白壁賞,および第38回村上記念「胃と腸」賞の授与式が執り行われた.

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欧文目次

ページ範囲:P.133 - P.133

「今月の症例」症例募集

ページ範囲:P.152 - P.152

 「今月の症例」欄はX線,内視鏡写真など形態学的所見が読めるようにきちんと撮影されている症例の掲載を目的としています.珍しい症例はもちろん,ありふれた疾患でも結構ですから,見ただけで日常診療の糧となるような症例をご投稿ください.

第20回「白壁賞」論文募集

ページ範囲:P.163 - P.163

 「胃と腸」編集委員会では,故白壁彦夫先生の偉業を讃え,「白壁賞」を設け,優秀な研究・論文を顕彰しております.今回は「白壁賞」の論文を下記の要領で公募いたしますので,奮ってご応募ください.英文誌に発表された消化管の形態・診断学に関する論文が応募の対象となります.

書評「カラー版 消化器病学─基礎と臨床─」

著者: 吉田茂昭

ページ範囲:P.173 - P.173

 何とも壮大な教科書が刊行されたものである.全1,560頁,執筆者は何と482名にものぼる.これだけの執筆者を抱えながら,目次の作成作業から3年余りで刊行に漕ぎ着けられたことには驚きを禁じ得ない.通常,稿を急がせると内容が雑に流れるきらいがあるが,編者の浅香正博,菅野健太郎,千葉勉の各氏は,今や消化器病学の領域において,正に油の乗りきった第一人者中の第一人者であり,その厳しい監修のためか各章とも内容がわかりやすく,これだけの執筆者が分担したとは思われないほど統一性に優れ,さらに短期間に刊行されたことの最大のアドバンテージとも言えるが,正に最新の知識で埋め尽くされている.

 本書における最大の特長の一つはカラー写真を多用している点であろう.消化器病学は,常に画像診断と表裏一体の関係にあることから,画像診断情報をいかに正しく理解するかが,診療や研究における勘所となっている.ことに,最近では,内視鏡領域の進歩が著しく,微細診断から治療に至る様々な知見が,消化器病学の進歩をリードしているが,内視鏡所見は病理組織学所見とともに,カラーでなければ詳細の理解が難しい.おそらくそのことが,これだけ多くのカラー写真を必要としたのであろうが,ただ単に多いというだけではなく,いずれも美しく内容の溢れる写真が示されており,これにより,文字情報からだけではなく画像情報からも診断学,治療学の神髄を理解できる内容となっている.

早期胃癌研究会 症例募集

ページ範囲:P.246 - P.246

早期胃癌研究会では検討症例を募集しています.

画像のきれいな症例で,

・比較的まれな症例,鑑別が困難な症例.

・典型例だが読影の勉強になる症例.

・診断がよくわからない症例.

学会・研究会ご案内

ページ範囲:P.261 - P.265

投稿規定

ページ範囲:P.266 - P.266

編集後記

著者: 門馬久美子

ページ範囲:P.267 - P.267

 今回,「日本食道学会拡大内視鏡分類」をテーマに取り上げた.食道の拡大内視鏡観察は,井上,有馬らの研究により,食道扁平上皮癌の質的診断,深達度診断に対する拡大内視鏡の有用性が証明され,作成された井上分類,有馬分類が使用されてきた.最近の画像強調内視鏡の開発に伴い,食道の拡大観察がより一般化されつつある中,より簡便で初学者にも使いやすい拡大内視鏡の分類の作成が望まれ,幕内元日本食道学会理事長のもと,小山恒男を委員長とする「拡大内視鏡による食道表在癌深達度診断基準検討委員会」が開かれ,日本食道学会拡大内視鏡分類案が作成された.

 「日本食道学会拡大内視鏡分類」は,小山より解説されているが,食道扁平上皮の基本的な血管構造であるIPCLに注目し,拡張・蛇行・口径不同・形状不均一を示すループ状の異常血管をB1,ループ形成に乏しい異常血管をB2,B2の3倍以上の不整な血管をB3とした.また,Type B血管で囲まれた無血管あるいは血管が粗な領域をAVAとし,AVAの大きさから,small,middle,largeの3つに亜分類した.付記事項で,不規則で細かい網状血管をType R(reticular)とした.血管形態に基づいた日本食道学会分類の有用性と限界を明らかにする目的で,本号を企画した.

次号予告

ページ範囲:P.268 - P.268

基本情報

胃と腸

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1219

印刷版ISSN 0536-2180

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