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文献詳細

雑誌文献

胃と腸49巻2号

2014年02月発行

文献概要

今月の主題 日本食道学会拡大内視鏡分類 主題

日本食道学会拡大内視鏡分類と深達度―深達度診断におけるB2血管の意義

著者: 藤原純子1 門馬久美子1 立石陽子23 長尾知子4 剛崎有加45 三浦昭順6 加藤剛6 出江洋介6 比島恒和2 吉田操7

所属機関: 1がん・感染症センター都立駒込病院内視鏡科 2がん・感染症センター都立駒込病院病理科 3横浜市立大学医学部病態病理学 4がん・感染症センター都立駒込病院消化器内科 5都立松沢病院内科 6がん・感染症センター都立駒込病院食道外科 7早期胃癌検診協会

ページ範囲:P.174 - P.185

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要旨 2011年1月から2013年7月までにESD/EMRを行った食道表在癌241病変を対象に検討を行った.深達度診断の成績は,T1a-EP/LPM癌95%(163/171),T1a-MM/T1b-SM1癌62%(21/34),T1b-SM2以深癌67%(10/15)であった.治療当日にNBI拡大観察を行った97病変で観察された血管の感度,特異度はそれぞれB1:82%,95%,B2:86%,53%,B3:25%,100%であり,B2血管の特異度の低さが問題であった.さらに,B2血管を認め,ESD/EMR後に血管と病理組織像が対応可能であった24例を検討したところ,(1)パターンa:腫瘍胞巣間の間質を走行する血管(2)パターンb:bulkyな腫瘍塊を取り囲む血管(3)パターンc:乳頭状増殖する隆起性病変にみられる血管(4)パターンd:びらんや再生性変化の周囲に出現する炎症に伴う血管の4タイプに分類され,その多様性のためにT1a-MM/T1b-SM1診断におけるB2血管の特異度が低くなっていた.0-II型病変において,びらんなどの再生性変化の周囲にみられるものを除き,病変内の厚みのある部位にB2血管を認める場合,組織学的にはパターンaをとり,腫瘍浸潤態度を反映する.しかし,癌がT1a-MM以深に深部浸潤しても,表層100μmの浅層に認められる血管パターンは同一であり,拡大観察のみで先進部の情報をすべて得ることは難しい.通常観察とNBI拡大観察所見に乖離がある場合,EUSなど腫瘍深部の情報が得られる検査を行い,総合的に判断することが重要である.

参考文献

1)小山恒男,門馬久美子,幕内博康.食道扁平上皮癌の拡大内視鏡診断─日本食道学会分類の紹介.消内視鏡 24 : 466-468, 2012
2)有馬美和子,有馬秀明,多田正弘.食道表在癌の深達度診断─FICE拡大内視鏡の立場から.胃と腸 45 : 1515-1525, 2010
3)藤原純子,門馬久美子,藤原崇,他.食道表在癌の深達度診断─通常内視鏡の立場から.胃と腸 45 : 1483-1495, 2010
4)小山恒男,若槻俊之,友利彰寿,他.食道粘膜癌の初期浸潤像の診断─拡大内視鏡の立場から.胃と腸 47 : 1360-1368, 2012
5)熊谷洋一,戸井雅和,石畝亨,他.血管新生の見地からみた食道癌の発育進展.胃と腸 47 : 1428-1434, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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