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文献詳細

雑誌文献

胃と腸49巻2号

2014年02月発行

文献概要

今月の主題 日本食道学会拡大内視鏡分類 主題

日本食道学会拡大内視鏡分類と深達度―Type R血管と組織像

著者: 有馬美和子1 都宮美華1 吉井貴子1 田中洋一2 黒住昌史3 石川文隆3

所属機関: 1埼玉県立がんセンター消化器内科 2埼玉県立がんセンター消化器外科 3埼玉県立がんセンター病理診断科

ページ範囲:P.213 - P.221

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要旨 日本食道学会拡大内視鏡分類の付記1“不規則で細かい網状(reticular:R)血管を認めることがあり,低分化型扁平上皮癌(por SCC),INFc,特殊な組織型を示すことが多いので,Rと付記する”を検証するべく,低分化型,INFc,特殊な組織型を示す病変の血管像を見直し,Type Rの特徴を再検討した.食道表在癌316病巣中,por SCC,特殊な組織型,INFcを示した病変は45病巣あり,このうち16病巣(35.6%)にType Rと判定される血管が観察された.Type Rの特徴として,褪色調の領域を作って血管密度が低いこと,極めて細いチリチリした網状の形態を示すこと,口径不同が著しいこと,loop構造の名残がないことが挙げられた.病理組織像は細かい蜂巣がバラバラに浸潤する病変でType Rを示すことが多く,por SCCやINFc,特殊な組織型を示した病変のうち,浸潤性の病巣が表層に露出している(しかかっている)病変が,Type Rとして認識されていると考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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