胃と腸49巻3号

2014年03月発行

今月の主題 消化管アミロイドーシスを見直す 主題

消化管アミロイドーシスの臨床像―画像診断を中心に─アミロイドーシスの小腸病変の特徴

著者： 蔵原晃一¹ 大城由美² 岡本康治³ 川崎啓祐¹ 河内修司¹ 八板弘樹¹ 鷲尾恵万³ 永田豊³ 平橋美奈子⁴ 江崎幹宏³ 小田義直⁴ 松本主之³⁵ 渕上忠彦¹

所属機関： ¹松山赤十字病院胃腸センター ²松山赤十字病院病理診断科 ³九州大学大学院医学研究院病態機能内科学 ⁴九州大学大学院医学研究院形態機能病理学 ⁵岩手医科大学医学部内科学講座消化器内科消化管分野

ページ範囲：P.311 - P.319

要旨　アミロイドーシスの小腸病変の特徴を明らかにするために，自験消化管アミロイドーシス症例の中でダブルバルーン小腸内視鏡ないしカプセル小腸内視鏡検査を施行した計14症例を対象として，その所見を中心に検討した．14例の内訳はAA型11例，AL型2例，Aβ₂M型1例であった．内視鏡所見を検討すると，AA型は微細顆粒状粘膜面が特徴的であったが，NSAIDs常用者5例中3例で下部小腸優位のびらん・小潰瘍の多発を認めた．AL型では多発性の粘膜下腫瘍様隆起とKerckring皺襞肥厚像を，Aβ₂M型ではKerckring皺襞の肥厚像を認めた．

参考文献

1）山田正仁．アミロイドーシスとは?─定義と分類．山田正仁（編）．アミロイドーシス診療のすべて─ガイドライン完全解説．医歯薬出版，pp 3-8，2011

2）多田修治．消化管アミロイドーシスの診断に関する研究─特にアミロイド線維蛋白との関係について．福岡医誌 82 : 624-647, 1991

3）蔵原晃一，大城由美，工藤哲司，他．血管変性 : アミロイドーシス（AA型，AL型，他）．INTESTINE 16 : 441-446, 2012

4）山田正仁．アミロイドーシスの診断・治療の基本的な考え方．山田正仁（編）．アミロイドーシス診療のすべて．医歯薬出版，pp 19-23，2011

5）多田修治，飯田三雄，八尾恒良．膠原病─消化管アミロイドーシス．八尾恒良，飯田三雄（編）．小腸疾患の臨床．医学書院，pp 275-283，2004

6）池田修一．消化管アミロイドーシス．石原得博（監）．池田修一（編）．アミロイドーシスの基礎と臨床．金原出版，pp 215-221，2005

7）島崎千尋．ALアミロイドーシス．山田正仁（編）．アミロイドーシス診療のすべて．医歯薬出版，pp 27-43，2011

8）平橋美奈子，松本主之，城由紀彦，他．消化管に限局した原発性AL型アミロイドーシスの1例─長期経過を含めて．胃と腸 37 : 855-861, 2002

9）Kyle RA, Gertz MA, Lacy MQ, et al. Localized AL amyloidosis of the colon- an unrecognized entity. Amyloid 10 : 36-41, 2003

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11）多田修治，飯田三雄．アミロイドーシス─原発性，続発性アミロイドーシス．胃と腸 38 : 611-618, 2003

12）小林広幸，松本主之，梁井俊一，他．全身性疾患の部分症としての小腸病変─アミロイドーシス．胃と腸 43 : 687-691, 2008

13）蔵原晃一，松本主之，八尾隆史，他．小腸潰瘍性病変の的確な診断と概念の確立─NSAID起因性小腸潰瘍症例の臨床的検討．消化器内科 54 : 560-564, 2012

14）Kobayashi H, Tada S, Fuchigami T, et al. Secondary amyloidosis in patients with rheumatoid arthritis : diagnosis and prognostic value of gastroduodenal biopsy. Br J Rheumatol 35 : 44-49, 1996

15）岩下明徳，飯田三雄，渕上忠彦，他．消化管アミロイドーシスの生検診断．胃と腸 22 : 1287-1299, 1987