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文献詳細

雑誌文献

胃と腸49巻3号

2014年03月発行

文献概要

今月の主題 消化管アミロイドーシスを見直す 主題症例

粘膜下腫瘍様形態を呈した直腸孤立性ALアミロイドーシスの1例

著者: 野田久嗣1 小笠原尚高1 伊藤義紹1 大林光念2 田村泰弘1 近藤好博1 増井竜太1 井澤晋也1 河村直彦1 土方康孝1 徳留健太郎1 水野真理1 飯田章人1 舟木康1 佐々木誠人1 春日井邦夫1

所属機関: 1愛知医科大学消化器内科 2熊本大学医学部附属病院中央検査部アミロイドーシス診療体制構築事業

ページ範囲:P.359 - P.364

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要旨 患者は64歳,女性.2012年4月上旬より血便が持続するため,当科を受診した.下部消化管内視鏡検査を施行したところ,直腸Raに径約20mm大で,頂部に潰瘍を伴う発赤調で弾性硬の粘膜下腫瘍様隆起を認め,潰瘍底の一部は黄色を呈していた.腫瘤の生検病理組織検査でアミロイドーシスと診断されたため,多発性骨髄腫や悪性疾患の併発を考え,全身CT検査,PET検査,骨髄穿刺などの精査を施行したが,いずれも異常所見を認めなかった.同年5月,精査目的で内視鏡的粘膜切除(EMR)を施行し,同腫瘤を切除した.病理組織検査でAL-κアミロイドーシスと診断された.頂部に黄色を呈する潰瘍を伴った発赤調の粘膜下腫瘍を診断する際は,アミロイドーシスも鑑別診断に入れておく必要があると考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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