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文献詳細

雑誌文献

胃と腸49巻3号

2014年03月発行

文献概要

症例

拡大観察にて診断しえた低異型度胃癌の1例

著者: 若槻俊之1 小山恒男1 国枝献治1 武田晋一郎1 岸埜高明1 篠原知明1 高橋亜紀子1 友利彰寿1

所属機関: 1佐久総合病院胃腸科

ページ範囲:P.406 - P.410

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要旨 患者は70歳代,男性.前医で施行した内視鏡検査にて胃角部小彎に陥凹性病変を認め,生検でGroup 5と診断され,当科へ紹介受診となった.通常観察では境界不明瞭な発赤陥凹を認めたが,癌と診断しうる所見はなかった.一方,NBI・酢酸併用拡大観察では,正常粘膜と病変部にわずかな構造差を認めた.その後,ESDを施行し,病理組織学的診断の結果はgastric adenocarcinoma,Type 0-IIb,tub1>tub2,15×8mm,pT1a(M),UL(+),ly0,v0,HM0,VM0であった.拡大内視鏡所見と病理組織学的所見を正確に対比するために,NBI・酢酸撒布併用拡大観察で観察した部位に割が入るように切り出しを行った.割入り後の標本上にマッピングし,内視鏡画像と対比したところ,全層性の領域と,一部に表層非腫瘍で粘膜中深層にのみ腫瘍腺管を認めた領域があった.全層性の病変範囲は概ね正確に診断できていた.しかし,粘膜中深層にのみ腫瘍腺管を認めた領域の診断は困難であり,NBI拡大観察の限界と思われた.

参考文献

1)田邉寛,岩下明徳,原岡誠司,他.病理学的にみた早期胃癌に対するESD切除成績と範囲診断困難例の特徴─一括完全切除例と分割切除例の対比を含めて.胃と腸 41 : 53-66, 2006
2)八尾隆史,椛島章,上月俊夫,他.胃型分化型腺癌─新しい抗体を用いた免疫染色による癌の形質判定.胃と腸 34 : 477-485, 1999
3)吉永繁高,瀧澤初,松本美野里,他.範囲診断が困難であった低異型度分化型早期胃癌(手つなぎ・横這型癌)の1例.胃と腸 45 : 1235-1243, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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