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文献詳細

雑誌文献

胃と腸49巻4号

2014年04月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

特異な表面構造を有する0-IIa型病変を周囲に伴った,下部直腸の0-Is型病変の1例

著者: 平賀裕子1 東條加奈1 大谷一郎1 國原紗代子1 小道大輔1 桑田幸央1 平本智樹1 北本幹也1 渡邉千之1 山田博康1 隅岡正昭1 西阪隆2

所属機関: 1県立広島病院内視鏡内科・消化器内科 2県立広島病院臨床研究検査科

ページ範囲:P.535 - P.542

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要旨 患者は80歳代,女性.検診2次検査で大腸内視鏡検査を受け,下部直腸に30×22mmの0-Is+IIa型病変を指摘された.0-Is型領域は結節集簇様病変で,NBI拡大内視鏡観察にて,広島分類C1・佐野分類IIIA,pit pattern診断では,IV型pitを基調としたVI型軽度不整pit patternであった.0-Is型隆起周囲には,絨毛状構造を呈する0-IIa型領域と血管透見が保たれている丈の低い0-IIa型領域が拡がっていた.丈の低い0-IIa型領域の表面構造は,マスクメロン様の網目状を呈する特異な形態で,不整腺管構造としてVI型pit patternと判断した.腺腫内癌と診断し,Hybrid-ESD法で網目状0-IIa型領域も含めて一括切除を行った.病理組織診断は,0-Is型,0-IIa型領域ともに,異型度の異なる細胞が,領域性を持たずに不規則に混在しながら,乳頭状ないし絨毛状構造を呈しており,全体として粘膜内に限局した乳頭腺癌(pap>tub1)と診断した.組織学的に網目状0-IIa型領域は,乳頭腺癌がまばらな腺管の表層を置換性に発育した,0-Is型隆起から側方に進展した病変であると考えられた.

参考文献

型pit patternの分析および診断に関するコンセンサス : 工藤班研究成果を踏まえて.胃と腸 41 : 1751-1761, 2006
2)山野泰穂,吉川健二郎,木村友昭,他.早期大腸癌の精密画像診断―拡大内視鏡観察(pit pattern).胃と腸 45 : 822-828, 2010
3)Kanao H, Tanaka S, Oka S, et al. Narrow-band imaging magnification predicts the histology and invasion depth of colorectal tumors. Gastrointest Endosc 69 : 631-636, 2009
4)Sano Y, Horimatsu T, Fu KI, et al. Magnifying observation of microvascular architecture of colorectal lesions using a narrow-band imaging system. Dig Endosc 18(Suppl): S44-S51, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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