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増刊号 消化管悪性リンパ腫2014 グラフ
咽頭のMALTリンパ腫
著者: 津山直子12
所属機関: 1公益財団法人がん研究会がん研究所病理部 2東京都健康長寿医療センター病理診断科
ページ範囲:P.818 - P.819
文献購入ページに移動extranodal marginal zone lymphoma of MALT(mucosa-associated lymphoid tissue)lymphomaは,低悪性度のB細胞性非Hodgkinリンパ腫に分類され,胃をはじめとするさまざまな節外臓器を侵すが,咽頭原発MALTリンパ腫はまれである1).上気道原発悪性腫瘍のうち,リンパ腫が占める比率は1%以下であり2),発生部位の70%に相当するWaldeyer輪においては,その半数以上がdiffuse large B-cell lymphomaである3).したがって,日常診療でMALTリンパ腫に遭遇する頻度は極めて低い.
MALTリンパ腫は,感染症や自己免疫疾患に伴う慢性炎症刺激を受けて,二次的に形成された粘膜関連リンパ組織(MALT)から発症することが示されている4).小腸のPeyer板や扁桃のように,もともとMALTが存在する臓器から起こることは少ない.特に小児や若年者の扁桃では,免疫グロブリン軽鎖制限を示すMALTリンパ腫類似の反応性病変が報告されており5),この領域での診断には注意が必要である.
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