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文献詳細

雑誌文献

胃と腸49巻7号

2014年06月発行

文献概要

今月の主題 大腸T1(SM)癌に対する内視鏡治療の適応拡大 主題

完全摘除生検可能な大腸T1(SM)深部浸潤癌の術前診断―拡大内視鏡(pit pattern)

著者: 山野泰穂1 松下弘雄1 吉川健二郎1 原田英嗣1 高木亮1 中岡宙子1 田中義人1 檜森亮吾1 吉田優子1 今井靖1 佐藤健太郎1

所属機関: 1秋田赤十字病院消化器病センター

ページ範囲:P.1015 - P.1023

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要旨 大腸ESDが保険収載されて以降,大腸腫瘍性病変に対する内視鏡治療が活発に行われている一方で,内視鏡治療の是非を決定する術前診断の重要性が問われている.大腸における拡大内視鏡診断は,箱根合意に基づいたVI軽度・高度不整を用いた深達度診断を行うのが一般的である.しかし,組織分化度などによる拡大内視鏡所見の反映を考慮して,今回の検討ではVI型を研究的かつ暫定的に3つに亜分類(VI型暫定分類)を用いて,pT1癌の深達度,組織分化度,脈管侵襲の有無との対比を行った.その結果,全pT1癌では暫定分類VI 2/3型までのいわゆる“VI軽度不整”ではpT1a癌を反映し,表面平坦・陥凹型ではpT1a癌の比率が高くなった.また,組織分化度ではVI 1/3まではtub1であったが,不整が増すにつれて組織分化度の低下傾向,脈管侵襲も漸増が認められ,隆起型の方が表面平坦・陥凹型よりもその傾向が強かった.この結果を踏まえて,正確な病理診断が行われるような内視鏡治療,適切な切除標本の取り扱いを心がけることが重要であると考える.

参考文献

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2)工藤進英,三浦宏二,高野征雄,他.微小大腸癌の診断─実体顕微鏡所見を含めて.胃と腸 25 : 801-812, 1990
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4)工藤進英.早期大腸癌─平坦・陥凹型へのアプローチ,医学書院,1993
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8)樫田博史,笹島圭太,小林泰俊,他.拡大観察による大腸sm癌の深達度診断.消内視鏡 18 : 293-301, 2006
9)小林清典,迎美幸,小川大志,他.「浸潤距離1,000μm」のもたらした利益(3)臨床側 (2)─問題点も含めて.Intestine 16 : 130-135, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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