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今月の主題 大腸T1(SM)癌に対する内視鏡治療の適応拡大 主題
大腸T1(SM)深部浸潤癌に対する完全摘除生検としてのEMR/ESD―私はこう考える;積極的な立場から
著者: 西山仁1 宿輪三郎2 荻原久美1 村田朋哉1 後藤高介1 吉田亮3 東俊太朗1 山口直之4 大仁田賢4 磯本一4 竹島史直4 中尾一彦4
所属機関: 1長崎医療センター消化器科 2三佼会宮崎病院 3佐世保市立総合病院消化器内科 4長崎大学病院消化器内科
ページ範囲:P.1049 - P.1050
文献購入ページに移動SM癌の転移予測因子には「大腸癌治療ガイドライン医師用2009年版」1)に記載されている項目(1,000μm以深のSM浸潤,脈管侵襲像,低分化腺癌・印環細胞癌・粘液癌,簇出など)に加え,本誌46巻10号主題「大腸SM癌に対する内視鏡治療の適応拡大」で取り上げられたような新しい転移予測因子(粘膜筋板の状態,浸潤先進部の組織型,癌の異型度など)も指摘されている2).しかし,現在行われている内視鏡検査〔NBI(narrow band imaging)拡大観察診断,pit pattern診断,超音波内視鏡検査を含む〕や注腸X線造影検査でこれらを正確に術前診断することは困難で,SM浸潤が疑われる病変でも,明らかな深部浸潤所見がない限り完全摘除生検として内視鏡的切除術を先行することも少なくない.このような場合,術後病理診断には可能な限りの正確さが要求されるため,質の高い標本を得ることが必須である.
デバイスの選択については,EMR(endoscopic mucosal resection)で一括切除可能であれば完全摘除生検として問題ないと思われる.しかし,大きな病変や,小さくても粘膜下層に線維化を伴う病変など,EMRでの一括切除が困難な場合は,EPMR(endoscopic piecemeal mucosal resection)よりもESD(endoscopic submucosal dissection)での一括切除が望ましいと考える.とはいえ,このような病変のESDは粘膜内病変と比較して難易度が高いことが多い.
当センターでは,明らかなSM深部浸潤を示唆する所見がなければEMR/ESDによる完全一括切除を試み,術後病理診断を基に追加治療の要否について検討している.今回は特にEMRでの一括切除が困難で,ESDを施行した腺腫・M癌とSM癌の治療成績の差異からESDによる一括切除の有効性,安全性に触れ,私の考えを示したい.
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