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今月の主題 大腸T1(SM)癌に対する内視鏡治療の適応拡大 主題
大腸T1(SM)深部浸潤癌に対する完全摘除生検としてのEMR/ESD―私はこう考える;消極的な立場から
著者: 赤松泰次1
所属機関: 1長野県立須坂病院内視鏡センター
ページ範囲:P.1054 - P.1056
文献購入ページに移動はじめに
消化管腫瘍に対する内視鏡治療は,1980年代にEMR(endoscopic mucosal resection),1990年代後半にESD(endoscopic submucosal dissection)の手技が開発されて以来,飛躍的にその適応が拡大した.すなわち病変の形状や大きさの制約がなくなったことで,かつては外科的切除を余儀なくされていた病変に対しても内視鏡治療が適応されるようになったのである.しかし,内視鏡治療はあくまで局所治療であり,外科的切除と異なってリンパ節郭清を行わないことから,適応拡大あるいは内視鏡治療後に追加手術を行わずに経過をみた場合,リンパ節再発のリスクが問題となる.残念ながら現在のところ,術前でのリンパ節転移の有無の正確な診断や,不幸にしてリンパ節再発した症例を再治療することによって確実に治癒させる方法がないため,むやみに内視鏡治療の適応を拡大させることは戒めなければならない.
消化管腫瘍に対する内視鏡治療は,1980年代にEMR(endoscopic mucosal resection),1990年代後半にESD(endoscopic submucosal dissection)の手技が開発されて以来,飛躍的にその適応が拡大した.すなわち病変の形状や大きさの制約がなくなったことで,かつては外科的切除を余儀なくされていた病変に対しても内視鏡治療が適応されるようになったのである.しかし,内視鏡治療はあくまで局所治療であり,外科的切除と異なってリンパ節郭清を行わないことから,適応拡大あるいは内視鏡治療後に追加手術を行わずに経過をみた場合,リンパ節再発のリスクが問題となる.残念ながら現在のところ,術前でのリンパ節転移の有無の正確な診断や,不幸にしてリンパ節再発した症例を再治療することによって確実に治癒させる方法がないため,むやみに内視鏡治療の適応を拡大させることは戒めなければならない.
参考文献
1)Gotoda T, Sasako M, Yanagisawa A, et al. Incidence of lymph node metastasis from early gastric cancer : estimation with a large number of cases at two large centers. Gastric Cancer 3 : 219-225, 2000
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