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文献詳細

雑誌文献

胃と腸49巻9号

2014年08月発行

文献概要

今月の主題 小腸潰瘍の鑑別診断 主題

小腸潰瘍の鑑別診断―X線診断を中心に

著者: 蔵原晃一1 河内修司1 川崎啓祐12 八板弘樹1 大城由美3 岡本康治4 梅野淳嗣4 平橋美奈子5 江崎幹宏4 小林広幸16 八尾隆史7 松本主之2 渕上忠彦1

所属機関: 1松山赤十字病院胃腸センター 2岩手医科大学医学部内科学講座消化器内科消化管分野 3松山赤十字病院病理診断科 4九州大学大学院医学研究院病態機能内科学 5九州大学大学院医学研究院形態機能病理学 6福岡山王病院消化器内科 7順天堂大学医学部人体病理病態学

ページ範囲:P.1267 - P.1281

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要旨 小腸潰瘍の鑑別診断についてX線診断を中心に言及した.内視鏡の通過,挿入が困難な管腔狭小化例では,X線造影検査が全体像の把握に有用である.狭窄部の形態を片側性(偏側性)と両側性に大別しさらに後者を輪状狭窄と管状狭窄に分類すること,加えて,周囲粘膜の所見を加味することが鑑別診断に有用と考えた.一方,小潰瘍のみから成る症例においてはX線造影ではその描出に限界があり,存在診断と質的診断の両面でカプセル小腸内視鏡(capsule endoscopy ; CE)とダブルバルーン小腸内視鏡(double balloon endoscopy ; DBE)が有用である.このように,小腸潰瘍の診断には想定される病変の性状と検査特性を考慮することが重要で,CE・DBEにX線造影検査を相補的に選択あるいは組み合わせて施行することにより鑑別診断能が向上する可能性がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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