icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸5巻1号

1970年01月発行

文献概要

今月の主題 胃癌の経過 興味ある経過を示した症例

胃癌の発生を考えさせる興味ある経過を示したⅡcの1例

著者: 奥田茂1 竜田正晴1

所属機関: 1大阪府立成人病センター内視鏡科

ページ範囲:P.47 - P.54

文献購入ページに移動
はじめに

 胃癌がどのような形で発生し,どのくらいの期間早期胃癌の状態でとどまっているのであろうかということは胃癌の早期発見に携わる者にとって大きな関心事である.胃カメラをはじめ内視鏡検査法の進歩により良好なカラー写真が記録保存できるようになったため胃癌患者の過去の内視鏡所見を探し求め,これと切除胃の組織所見を比較検討して胃癌の進展経過を解析できるようになった.このような研究は一般にretrospective studyと呼ばれている.

 retrospective studyによってこれまでに明らかにされたことは,早期胃癌症例では案外に進行の遅かったものが少なくない1)2)3)4)ということである.すなわち数年前に遡っても,手術時の形態とほとんど同じ特徴を示すものが経験されたので,多くの胃癌はその早期の時点においては意外にゆっくりと進展するのではないかと考えるようになった.しかしながらこれまで胃癌の成り立ち,あるいは発生を論ずるための資料は極めて少なかったように思われる.著者らはすでに本誌で,隆起型早期胃癌の発生を考えさせる興味ある1例5)を紹介した.今回は陥凹型早期胃癌の発生を考察する上で貴重な資料と思われる症例を経験したので報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?