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文献概要
今月の主題 胃を除く消化器の早期癌(1) 総説
食道の早期癌
著者: 鍋谷欣市1
所属機関: 1千葉大学医学部第2外科
ページ範囲:P.1205 - P.1213
文献購入ページに移動はじめに
早期食道癌はごく最近まで全く報告をみなかったが,1966年東北大山形ら1),東京女子医大中山ら2)の報告以来,各種食道検査法の進歩向上と相俟って次第に多くなってきた,
たまたまこれと相前後して1965年に食道疾患研究会が発足し,しばしば早期食道癌についての検討も重ねてきた.そして,1969年4月には食道癌取扱い規約3)が結ばれ,その中には早期癌の定義がなされている.すなわち,「進行度とは別に組織学的判定によって癌浸潤が粘膜下層までで止まる癌を早期癌と定義する(図1).このさい,リンパ節転移の有無にはかかわらない.なお,術前合併療法を行なってこれに該当するものについてはたとえば術前照射例ではR・早期癌と記載して,いわゆる早期癌と区別する」と述べられている.筆者もこの規約の草案者の1人であるが,この定義の決定には2,3の問題点4)5)6)7)が残されているので,今後さらに検討されなければならないと考えている.特にR・早期癌については多少の誤解を招く恐れもあるので,次のような基準で集計することにした.すなわち,「R・早期癌の場合は,筋層以下に照射前癌浸潤があったと思われる変化のないもの」とした.これは進行癌であったものが,術前照射によって少なくとも筋層以下には癌細胞が消失し,瘢痕,萎縮などの変化を残している例を除くためである.
このような基準にしたがって早期食道癌を集計すると,表1のごとく,1970年2月までに28例に達している.配列は報告年度順であり,以下主な項目についての集計成績を述べる.個々の症例の所見については,できるだけ既発表文献を載せて省略することにした.
早期食道癌はごく最近まで全く報告をみなかったが,1966年東北大山形ら1),東京女子医大中山ら2)の報告以来,各種食道検査法の進歩向上と相俟って次第に多くなってきた,
たまたまこれと相前後して1965年に食道疾患研究会が発足し,しばしば早期食道癌についての検討も重ねてきた.そして,1969年4月には食道癌取扱い規約3)が結ばれ,その中には早期癌の定義がなされている.すなわち,「進行度とは別に組織学的判定によって癌浸潤が粘膜下層までで止まる癌を早期癌と定義する(図1).このさい,リンパ節転移の有無にはかかわらない.なお,術前合併療法を行なってこれに該当するものについてはたとえば術前照射例ではR・早期癌と記載して,いわゆる早期癌と区別する」と述べられている.筆者もこの規約の草案者の1人であるが,この定義の決定には2,3の問題点4)5)6)7)が残されているので,今後さらに検討されなければならないと考えている.特にR・早期癌については多少の誤解を招く恐れもあるので,次のような基準で集計することにした.すなわち,「R・早期癌の場合は,筋層以下に照射前癌浸潤があったと思われる変化のないもの」とした.これは進行癌であったものが,術前照射によって少なくとも筋層以下には癌細胞が消失し,瘢痕,萎縮などの変化を残している例を除くためである.
このような基準にしたがって早期食道癌を集計すると,表1のごとく,1970年2月までに28例に達している.配列は報告年度順であり,以下主な項目についての集計成績を述べる.個々の症例の所見については,できるだけ既発表文献を載せて省略することにした.
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