icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸5巻10号

1970年09月発行

文献概要

今月の主題 胃を除く消化器の早期癌(1) 総説

胆道系の早期癌

著者: 永光慎吾1

所属機関: 1九州大学医学部第1外科

ページ範囲:P.1215 - P.1224

文献購入ページに移動
はじめに

 胆道の癌は予後の極めて悪い疾患であり,術後5年生存例は非常に少ない.従って,早期癌の定義を決めようとしても,討議の資料となるべき症例が少ないために,胆道系では早期癌の定義すら決定されていない.第56回日本消化器病学会総会に於て胃以外の消化器の早期癌がパネルに取上げられ,筆者は胆道疾患研究会の会員として胆道系の早期癌について報告するよう求められたのであるが,以上のような事情から一応術後5年以上生存したものをもってこれに当てることとした.症例の収集は胆道疾患研究会会員の協力によって行なわれ,調査対象はほぼ全国にまたがり,127施設である.なお,本論文では胆道を胆嚢および肝外胆管に限定し,十二指腸乳頭癌は除外した.十二指腸乳頭部癌は癌の発生母地が胆管上皮であるのか,膵臓起源であるのかあるいは,十二指腸粘膜に由来するのか明らかにし得ないものが多く,また解剖学的,組織学的にも胆嚢および胆管のもつ特殊性と異なるところがあるので,これを胆道系の癌から除外した.

 予期したように5年生存例は極めて少なく,収集し得た症例は胆嚢癌14例,胆管癌5例のみである.

 胆道系の癌のうち,胆嚢癌と胆管癌とでは癌の進展の様態,症候の現われ方,胆石との関係,また診断法および手術術式においてもそれぞれ異なるものがあるので別々に述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?