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今月の主題 胃を除く消化器の早期癌(1) 研究
胆・膵管内視鏡的診断法―第4報:先端バローン式胆道ファイバースコープ
著者: 西村明1 田紀克1 大坪雄三1
所属機関: 1千葉大学医学部第二外科
ページ範囲:P.1271 - P.1278
文献購入ページに移動胆道系疾患の治療を適切に行なうには,疾患の正しい診断が前提となることは,述べるまでもない.胆道系疾患の診断には,従来より胆道・胆のう造影法(経口的,経静脈的,経皮的)が重要な位置を占め,ひろくroutineとして施行されてきている.とくに,術中胆管造影法は胆道内腔の変化をよく描写して手術に即応できるため有用ではあるが,一方,注入造影剤の濃度や結石の種類と大きさ1),患者の肥満度2)によって左右されることがあり,実施上の繁雑さとあいまって,必ずしも満足するものではない.
術中胆道内視は古くから試みられ,胆道内対象を直視下に観察できる点でその有用性は認められている.とくに,胆道造影法と併用すると,遺残結石の発見や腫瘍による狭窄の確認・鑑別に役立つことはすでに述べられており2)3),筆者らもすでに報告した4).また,胆道炎のin vivoにおける診断は胆道内視が唯一の正確な方法である3).したがって,胆道結石などで胆道狭窄のある症例では,しばしば胆道粘膜の炎症性変化を伴なっていることが多いが,このことを認識して治療を行なうかどうかで胆石再発の可能性がちがってくる2).
以上のように,胆道内視は,近年,その重要性が再認識されるようになってきた4)5)6).筆者らは1967年来,胆道ファイバースコープの開発を,胆・膵管内視鏡的診断法の一環として十二指腸ファイバースコープの開発7)8)とともに意図し,基礎的検討を重ねてきた.1969年5月,オリンパス光学工業株式会社において臨床応用可能な先端バローン式胆道ファイバースコープ(CHF)第4号機が試作され,その紹介と使用経験についてはすでに報告した4).今回は,現在までの基礎的研究および臨床応用から得たいくつかの問題点を中心に胆道内視を論じてみたい.
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