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文献詳細

雑誌文献

胃と腸5巻11号

1970年10月発行

一頁講座

大腸癌の鑑別診断(2)―再発した胃癌の横行結腸への浸潤像

著者: 丸山雅一1

所属機関: 1癌研究会附属病院内科

ページ範囲:P.1368 - P.1368

文献概要

 患者は39歳の男性である.BorrmannIV型の進行胃癌のために胃全剔手術を受けて6カ月に撮影した大腸X線写真が図1,2である.手術時には,リンパ腺転移が19個中10個に認められた.手術後,4カ月頃から高度の心窩部痛が出現したという.手術の5カ月後に来院したときには,心窩部に硬い鶏卵大の腫瘤を触れ,ダグラス窩にも転移が認められた.さらに1カ月後に大腸のX線検査をおこなった.

 図1のように,充えい像では,横行結腸の中部よりやや肝彎曲部よりに,両側性の陰影欠損があり,比較的狭窄を呈している.図2の二重造影像では,同じ部位の伸展性がわるく,とくに,その上縁は陥凹して,ささくれだった所見がみられる.また,粘膜ひだがこの部では密に錯走している.透視では,腫瘤の位置は,この部に一致していた.このような所見は,前回同様,癌が漿膜面から浸潤したものと考えるべきである.この症例では,術後の再発像としてあらわれたのであるが,同じような所見は,進行した胃癌ではよくあるわけであるから,手術する前には大腸のX線検査も必ずやっておくべきである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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