icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸5巻13号

1970年12月発行

一頁講座

早期胃癌の肉眼診断 私のメモから―(その3)Ⅱc型胃癌のつづき

著者: 佐野量造1

所属機関: 1国立がんセンター病理部

ページ範囲:P.1638 - P.1638

文献概要

 1.Ⅱcと萎縮性胃炎の違いⅡcの範囲は全周性に追跡できること一

 “癌は一つの領域をつくっている”これはごく常識的なことなのですが,案外このことはⅡcと良性の粘膜萎縮との鑑別点として気づかれていないようです.一つの潰瘍に集中する数本の粘膜ひだがあるとします.その1本に“やせ”を見出したときに隣のレリーフの“やせ”,次の“やせ”へと順次にこの変化を追ってゆきますとⅡcの全周が連続性に追跡することができます.私達はこれを「Ⅱcの全周性変化」とよんでいます.これに反して,良性の萎縮性胃炎ではときに1本のレリーフにⅡc似た“やせ”または中絶の変化をみることがありますが,この変化は2~3本のレリーフの“やせ”につながっても,その次のレリーフには“やせ”がなく,円滑に良性の粘膜ひだの性状を示して潰瘍縁に終ります.つまりⅡcに類似した粘膜ひだのみせかけの“やせ”は非連続性で全周性にやせの範囲を追跡することはできません.このようなⅡcに類似した部分的な萎縮性胃炎の“やせ”はしばしば若い人または粘膜萎縮の少ない人の胃角部附近の潰瘍にみられます.

 次に,それでは癌が潰瘍の片側性のみに存在し,2~3本のレリーフに限局しているような例ではどう判断するかという問題が当然,生じてきます.この場合もⅡcの範囲は潰瘍縁を含めての全周性という意味で理解できます.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら