icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸5巻13号

1970年12月発行

文献概要

今月の主題 胃潰瘍の再発・再燃 総説

胃潰瘍の再発・再燃について―発見されたopen ulcerの過去の内視鏡像検討を中心に

著者: 藤野雅之1 金子栄蔵1

所属機関: 1東京大学医学部第1内科

ページ範囲:P.1639 - P.1643

文献購入ページに移動
 胃潰瘍患者のとりあつかいにあたって,もっとも重要なことは,胃潰瘍がその患者にとってどれだけのハンディキャップになっているか,そしてこれからの患者の一生を通じてどれだけの肉体的精神的,および社会的なハンディキャップになっていくかを注意深く評価し,それに対する十分な対策をたてていくことである.長期間漫然と薬の投与を続けるのみであったり,あるいは胃潰瘍を発見するとすべて胃切除をおこなったりするのはいずれも適切な配慮を欠除しているといわねばならない.いいかえれば,胃潰瘍の治療は再発・再燃の予測とそれを未然に防ぐための配慮が基礎となるものであるが,これには多くの困難な問題が含まれている.それは,単に投与する薬物の種類・量・投与方法などの問題だけでなく,患者の生活や性格などすべての面を含んでいるからである.

 潰瘍が瘢痕化したのちに,さらに治療を加えているにもかかわらず再発する場合が稀ならずある反面,何ら治療を加えないにもかからず,自然治癒する症例のあることも事実であり,この間の事情を一層複雑なものにしている.

 これらの問題の解明には,胃潰瘍の自然の経過を知ることが必要であると考えられるので,筆者らは,胃集検で発見された胃潰瘍のうち,治療をおこなっていないものをとりあげ,これらの経過を検討することにより,胃潰瘍の再発・再燃の問題への一つのアプローチを試みた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?