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文献詳細

雑誌文献

胃と腸5巻2号

1970年02月発行

文献概要

今月の主題 線状潰瘍 症例

蛋白喪失性腸症を伴った回腸盲係蹄の1例

著者: 立村森男1 森永健市1 鹿江幹雄1

所属機関: 1金沢市浅ノ川病院内科

ページ範囲:P.229 - P.233

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はじめに

 低蛋白血症の原因として,蛋白喪失性胃腸症は重要なものの1つに挙げられているが,最近10年間に本症に関する知見の進歩は著しいものがある.蛋白喪失性胃腸症はその原因により,胃腸管自体の疾患に起因せず,全身のリンパ系異常の一部分現象とみなされる原発性蛋白喪失性胃腸症あるいは原発性腸リンパ管拡張症と,諸種原因疾患により惹起された腸管のリンパ管異常による続発性蛋白喪失性胃腸症とに大別され,後者には,静脈圧充進を招く心疾患,特に収縮性心膜炎1)~4)や,諸種原因により起る胸管閉塞など,胃腸管部位におけるリンパの停滞,圧の充進,リンパ管の拡張などを招来する諸疾患5)~8)がその原因となりうる.消化管部位におけるリンパのうっ滞の結果,血清蛋白が消化管内へ漏出し,血清蛋白の体外への喪失が起るが,その他に胃腸管自体の病変,たとえば炎症,潰瘍,腫瘍など実に多くの諸疾患8)9)もまた血清蛋白喪失の原因となり得ることは周知のごとくである.

 筆者らは既往疾患のため開腹手術を受け,その際実施した回腸間瘻孔設置術により盲係蹄が形成され,さらに腸管の癒着,限局性結核性腹膜炎が加わり,盲係蹄部位のリンパの停滞,リンパ管拡張を来たし,蛋白喪失性腸症を呈するに至ったが,手術により盲係蹄を切除し治癒せしめ得た1症例を経験したのでここに報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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