文献詳細
今月の主題 胃肉腫
綜説
胃肉腫の病理
著者: 佐野量造1 広田映五1 下田忠和1 山本浩2 渡辺弘2
所属機関: 1国立がんセンター病理部 2国立がんセンター外科
ページ範囲:P.311 - P.322
文献概要
胃に生ずる肉腫は,一般に知られているものでは悪性リンパ腫(細網肉腫,リンパ肉腫,ホチギン病)と滑平筋肉腫がもっとも多く,その他,稀に報告されるものとして,神経性,血管性,脂肪性肉腫などがある.
悪性リンパ腫と滑平筋肉腫で代表される胃肉腫の胃悪性腫瘍に占める頻度は1~4%前後である.国立がんセンターで7年間に手術(試験開腹を含む)された胃肉腫は32例で,この間に手術された胃悪性腫瘍は1,600例をかぞえるので,その頻度は2%近くである.
32例の胃肉腫のうち,悪性リンパ腫はやや多く18例,滑平筋肉腫は14例であった.
今回は悪性リンパ腫と滑平筋肉腫の臨床と病理の問題点に触れ,その他の稀な肉腫については他の機会に譲ることにする.
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