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文献詳細

雑誌文献

胃と腸5巻3号

1970年03月発行

文献概要

今月の主題 胃肉腫 症例

シカゴ大学で発見された早期胃癌の1例

著者: 小林世美1 João Carlos Prolla1

所属機関: 1シカゴ大学医学部消化器内科

ページ範囲:P.365 - P.372

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はじめに

 周知のように,アメリカでは胃癌の死亡率は年年低下し,発生頻度は日本のそれと比べて極めて対照的である1)

 筆者らの消化器科では,1967年9月中旬よリオリンパスGTF-Aによる胃内視鏡検査をはじめ,1968年末に約400件を経験した,アメリカにおける代表的消化器科として,日々多数の腹部症状患者を扱っているが,医療体制の差異と非常に高い医療費のため,日本の大病院が扱っている患者数に比べたら数分の一である.また胃鏡検査は日本におけるほど一般化されていず,未だに患者は選択されたものが対象である.したがって,この期間内に胃内視鏡を受けた総患者数は344名であった.このうち,悪性腫瘍は20例,全患者の5.8%に当る.その内訳は胃癌17例,細網肉腫1例,ポジキン病1例,胃平滑筋肉腫1例であった.胃癌17例のうち,次に述べる症例以外はすべて進展癌であり,いずれも癌病巣自体が患者の主訴に関連していると思われる.

 ところが最近,主訴胃出血で緊急外来をおとずれた患者において,当初出血性のポリープを胃角部後壁に発見し,5カ月後に噴門部附近後壁に内視鏡的にⅡa様病変を疑い,組織学的に1型早期胃癌であった症例を経験したので,その興味ある発見までの経過と,アメリカにおける早期胃癌発見の困難さに触れてみたいと思う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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