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文献詳細

雑誌文献

胃と腸5巻4号

1970年04月発行

今月の主題 胆のう胆道疾患診断法の最近の進歩

綜説

超音波による胆囊胆道疾患診断

著者: 和賀井敏夫1

所属機関: 1順天堂大学医学部超音波医学研究センター

ページ範囲:P.433 - P.443

文献概要

はじめに

 近年,超音波を用いる検査法を各科領域の各種疾患診断に応用しようとする研究が盛んに進められ,頭蓋内疾患とくに頭部外傷における頭蓋内血腫の有無のスクリーニング検査,乳腺腫瘍診断,さらに産科領域における胎児に関する種々の計測,診断などに臨床的にも優れた成績を示すようになってきた.

 数多い情報の処理方法として,その定量化,記号化が進められる一方,豊富な情報を提供する映像が再び各方面において盛んに研究されるようになってきた.

 医学の領域においても,生体内部構造の映像化は診断のために非常に重要であり,X線検査法,シンチグラフイ,サーモグラフィなどにおいて目覚しい進歩がみられている.一方,超音波という波動も用い方によってはこれらの方法と同様に生体構造の映像法の手段として充分利用でき,しかも同時に超音波を用いることによる種々の特徴や利点があることも判明してきた.

 この超音波診断法が,本論文の主題である胆囊胆道疾患の診断に応用できる可能性があるかどうかが検討されるのは,一応当然の趨勢といえよう.しかし,この領域の診断法としては本特集にも紹介されているように,X線検査法のみについてみても排泄性または経皮的胆囊胆道造影法などがすばらしい進歩を遂げ,診断成績も向上している現状において,超音波診断法まで用いる理由はどこにあるかという疑問がまず生じてくるであろう.もし用いるとすれば,超音波診断法自体には一般的について種々の特徴利点はあるものの,胆囊胆道疾患診断に用いる揚合,種々のX線造影法でも診断困難な症例に果して有効であるかということが,命題の1つとして課せられることになる.結論的にいうならば現在の超音波診断は装置の面でも超音波像の分解能がなお不充分であり,さらに像の判定方法にも問題を残しているなどの欠点はあるものの,臨床的に使用してみてこの領域の診断法としていくつかの利点も見出されているので,筆者の経験を中心に述べることとする.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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