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文献詳細

雑誌文献

胃と腸5巻6号

1970年06月発行

文献概要

今月の主題 症例・研究 特集 症例

切除胃標本における日本住血吸虫卵の介在とその意義について

著者: 矢野博道1 樺木野修郎1 牛島捷1

所属機関: 1久留米大学医学部脇坂外科教室

ページ範囲:P.675 - P.679

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 日本住血吸虫は古くは広島,岡山,山梨,佐賀,福岡のほか,茨城,千葉,埼玉県などにも分布していたが,現在では山梨県の甲府盆地および広島県片山地方,福岡,佐賀の両県にまたがる筑後川流域のみにみられ,他の地方ではかげをひそめている.

 日本住血吸虫症の病原体である日本住血吸虫は腸管壁の細小血管に産卵するため,本虫卵が腸管壁に寄生して外科的障害を惹起したとの報告はかなり多く,腸管,特に直腸,虫垂壁,回盲部,S状結腸壁に日本住血吸虫卵(以下日虫卵と略す)の介在をみたとの症例報告は数百例を数える.日本住血吸虫は門脈に寄生する関係から,その分枝領域にある胃および十二指腸にも当然虫卵の介在は起こりうるが,人体でははなはだ稀で,胃・十二指腸潰瘍および癌腫に日虫卵の介在をみたとの記載は表1に示すように,宮川5例1),古賀1例2),矢野1例3),佐藤1例4),古賀3例5),鈴木2例6),土方1例7),大野1例8),川久保1例9)の計16例を算するに過ぎない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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