文献詳細
特集 胃生検特集
文献概要
はじめに
老若と疾患の軽重を問わず,幽門輪から胃,食道接合部までの胃の全域にわたって,正確な観察と自由な狙撃生検とをともに行なうことができる胃内視鏡は,慢性胃炎の臨床的,形態学的アプローチとしてもっとも有力な方法の一つである.
わが国で急速に発達したファイバースコープによる直視下胃生検法は,慢性胃炎の生検診断において劃期的な特徴を有するものであって,これによって胃粘膜のhistotopographic1)な解析は,いちじるしく容易にかつ正確に行なえるようになった.しかし,あらゆる臨床的検査法には限界があるように,この進歩したファイバースコープ生検法でも慢性胃炎追求上におおきな制約と限界があることは否定できない.すなわち,生検はあくまでも“点”の解析であって,決して“線”あるいは平面の解析ではないということである.とくに程度(severity)と拡散(expansion)の二重の進展性で規定される慢性胃炎の動態を識るためには,この“点”のみの解析ではすでに不充分であって,厳密な意味では,無目的的に生検個数を増しても,それは“点”の集積にすぎず,慢性胃炎の姿を全貌としてとらえることは到底できない.われわれは慢性胃炎の生検法のあり方について考えるとき,まず第一にこの生検の限界を充分認識し,これをすこしでも克服する方向にもって行かなければならないと思う.
慢性胃炎の生検診断において,胃内視鏡像との対比検討は胃生検法の出現以来継続されている研究テーマであって,それが重要であることは今日においてもいささかも減少していないが,本文では見方をすこし変えて慢性胃炎の生検法の新しい意義づけを求めてみたいと思っている.
老若と疾患の軽重を問わず,幽門輪から胃,食道接合部までの胃の全域にわたって,正確な観察と自由な狙撃生検とをともに行なうことができる胃内視鏡は,慢性胃炎の臨床的,形態学的アプローチとしてもっとも有力な方法の一つである.
わが国で急速に発達したファイバースコープによる直視下胃生検法は,慢性胃炎の生検診断において劃期的な特徴を有するものであって,これによって胃粘膜のhistotopographic1)な解析は,いちじるしく容易にかつ正確に行なえるようになった.しかし,あらゆる臨床的検査法には限界があるように,この進歩したファイバースコープ生検法でも慢性胃炎追求上におおきな制約と限界があることは否定できない.すなわち,生検はあくまでも“点”の解析であって,決して“線”あるいは平面の解析ではないということである.とくに程度(severity)と拡散(expansion)の二重の進展性で規定される慢性胃炎の動態を識るためには,この“点”のみの解析ではすでに不充分であって,厳密な意味では,無目的的に生検個数を増しても,それは“点”の集積にすぎず,慢性胃炎の姿を全貌としてとらえることは到底できない.われわれは慢性胃炎の生検法のあり方について考えるとき,まず第一にこの生検の限界を充分認識し,これをすこしでも克服する方向にもって行かなければならないと思う.
慢性胃炎の生検診断において,胃内視鏡像との対比検討は胃生検法の出現以来継続されている研究テーマであって,それが重要であることは今日においてもいささかも減少していないが,本文では見方をすこし変えて慢性胃炎の生検法の新しい意義づけを求めてみたいと思っている.
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