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文献詳細

雑誌文献

胃と腸5巻7号

1970年06月発行

特集 胃生検特集

内視鏡視直下のポリペクトミーと完全生検の意義

著者: 常岡健二1 渡辺昂1 内田隆也1 吉井隆博2

所属機関: 1日本医科大学常岡内科 2日本医科大学病理学教室

ページ範囲:P.853 - P.864

文献概要

はじめに

 近年ファイバーガストロスコープ(以下FGSと略す)の開発とその応用である直視下狙撃生検法の発達によって,胃病変の診断は組織学的診断を加味してますます正確なものとなってきた.しかし,胃の隆起性病変のうち,とくに胃ポリープについては,現在の生検はまだ充分ではない.これは生検鉗子の性能上ポリープ,ことに有茎性ポリープについて生検部位の選択が困難なこと,また採取可能な粘膜の大きさと深さが期待するほど充分なものでないことから,組織学的診断は充分な正確さを保証されていない.また,最近問題にされているポリープの一部にみられる異型上皮または癌の存在の有無に関しても,生検材料からでは正しい判定を下しえない.

 著者らは従来より生検鉗子の改良を行なうとともに,とくにポリープのごとき癌との関連病変の生検には,組織をできるだけ大きく,しかも完全に採取できる方法はないものかと考えていた.一昨年以来,著者らは扁桃,鼻ポリープの切断にヒントをえて,内視鏡的にワイヤーループを用いて胃ポリープを切断し,かつ回収する方法を考案し,その方法・手技などについて発表してきた1)-7).この方法は良性胃ポリープの治療を主眼としたものではあるが,また完全な組織診を行なうためにも有用な方法である.本文では良性の胃ポリープと診断されたものについて,術前の生検診断と切断ポリープの全組織像とを対比した成績を中心にして,この方法が従来の生検診断の不確実さを補い,これに代る完全な生検診断法(完全生検法,仮称)として意義があることを述べたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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