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文献詳細

雑誌文献

胃と腸5巻9号

1970年08月発行

文献概要

今月の主題 高位の胃病変 総説

高位の胃病変のX線診断

著者: 松江寛人1 十林賢児1 山田達哉1 堀越寛2 土井偉誉1 野口真利1 須古博信1 市川平三郎1

所属機関: 1国立がんセンター放射線部 2国立がんセンター集検部

ページ範囲:P.1071 - P.1083

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 「高位の胃病変」と言った場合,果してどの範囲までを指すのであろうか.それは研究目的によって異なるであろうし,また同じ診断学の分野でもX線と内視鏡では,おのおのの検査方法が全く違うので,問題となる高位としての部位が当然異なるであろう.しかし,X線診断だけでも,著者により,名称や部位の取り扱いが全く一定していない.たとえば,噴門口の水平線以上を一般に穹窿部という名称で呼ばれているが,外国では,fornix2)3)とfundus4)~8)という言葉が用いられ,著者によって様々である.

 胃高位を示す言葉として穹窿部,fornix fundus以外に噴門部,cardiaまたはpars cardiacaなどがある.しかし,その範囲も一定しておらず「噴門を中心とする小部分」9)と,噴門を含めた広い部分とに用いられている.小部分を示すものとして,Holzknecht10),Finby11)が1インチ平方Braasch12)が2インチ平方Portis13)が3cm平方,胃癌取扱規約14)が2cmとしており,広範囲を示すものとして,三宅15)は「第1斜位で弧を描く噴門後壁が,垂直な後壁と鈍角に交叉する点以上」,松浦16)は「食道胃接合部下2cm以上」を噴門部とし,松永17)は「食道開口部の下3.5cm以上」を噴門部および穹窿部と定義している.また,沢田18),藤平19)は「体部上1/3以上」を噴門部および胃体上部として,胃上部の病変を扱っている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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