icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸5巻9号

1970年08月発行

文献概要

今月の主題 高位の胃病変 総説

高位の胃癌の組織発生

著者: 中村恭一1

所属機関: 1癌研究会癌研究所病理部

ページ範囲:P.1111 - P.1119

文献購入ページに移動
 筆者らは2)3),“癌組織は,それが発生した正常臓器の構造・機能を多少とも模倣する”との,癌腫一般の基本概念にもとづき,微小胃癌(最大径5mm以下),粘膜内癌および進行癌を対象として①細胞水準で正常細胞に類似を求める,②組織水準で癌発生の場である粘膜の性状と癌組織型との関係,の2点について光顕的・電顕的ならびに統計的に解析を行ない,“分化型癌(乳頭管状腺癌・管状腺癌)は胃の腸上皮化生粘膜を,一方,未分化型癌(粘液細胞性腺癌・硬癌)は胃固有粘膜を発生母地とする”との胃癌組織発生についての一つの概念を得た.

 この概念は,おもに胃幽門前庭部に発生した癌を対象として導かれたものである.ということは胃幽門前庭部は胃癌の好発部位4)であり,多数の胃癌をあつかう場合にはその大部分が幽門前庭部に発生した癌で占められるからである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?