文献詳細
文献概要
今月の主題 消化管早期癌診断学の時代変遷─50年の歩みと展望 序説
「胃と腸」50巻の歴史と現在の問題点
著者: 八尾恒良1
所属機関: 1佐田病院
ページ範囲:P.5 - P.9
文献購入ページに移動はじめに
歴史的に消化管早期癌の概念は,予後良好な患者の切除標本肉眼所見とその割面の顕微鏡所見から成り立っている.消化管診断学はこれに加え,精密に病変を描出,読影して病理組織構築の診断を目指し,生検標本や術後標本の検索と総合して,より良い治療と予後を目標とする学問である.本誌の早期癌診断学の歴史は診断技術,機器の進歩にとどまらず,病理所見をgolden standardとした診断学によって新しい病変の発見と確立を生み,臨床病理学の進歩に貢献し,さらに病理診断に頼りながら臨床も進歩する,良性サイクルの歴史とも言える.限られた枚数の中で,本誌50年の歴史をレビューし,現在の問題点にも言及した.
歴史的に消化管早期癌の概念は,予後良好な患者の切除標本肉眼所見とその割面の顕微鏡所見から成り立っている.消化管診断学はこれに加え,精密に病変を描出,読影して病理組織構築の診断を目指し,生検標本や術後標本の検索と総合して,より良い治療と予後を目標とする学問である.本誌の早期癌診断学の歴史は診断技術,機器の進歩にとどまらず,病理所見をgolden standardとした診断学によって新しい病変の発見と確立を生み,臨床病理学の進歩に貢献し,さらに病理診断に頼りながら臨床も進歩する,良性サイクルの歴史とも言える.限られた枚数の中で,本誌50年の歴史をレビューし,現在の問題点にも言及した.
参考文献
1)田坂定孝.早期胃癌の全国集計.Gastroenterol Endosc 4:4-14, 1962
2)崎田隆夫,白壁彦夫.早期胃癌肉眼分類起草10年.胃と腸 7:490-506, 1972
3)白壁彦夫,高木國夫,八尾恒良.早期胃癌黎明期の回想.胃と腸 28:147-160, 1993
4)白壁彦夫,西沢護,早川尚男,他.早期胃癌のレントゲン診断─その1.胃と腸 1:11-24, 1966
5)白壁彦夫,西沢護,日暮協,他.早期胃癌のレントゲン診断─その2.胃と腸 1:125-143, 1966
6)白壁彦夫,西沢護,日暮協,他.早期胃癌のレントゲン診断─その3.胃と腸 1:229-256, 1966
7)白壁彦夫,堀越寛,古賀充,他.消化器疾患の新しい診断法─X線診断法の新しい動向.胃と腸 10:1166-1183, 1975
8)熊倉賢二,杉野吉則,田中満,他.X線装置からみたX線診断の限界.胃と腸 14:13-25, 1979
9)橋本睦弘,竹田彬一,郡大裕,他.色素による内視鏡検査法─早期胃癌を中心に.胃と腸 10:1157-1165, 1975
10)竹腰隆男,丸山雅一,杉山憲義,他.生検時点墨法による胃癌浸潤範囲の同定.胃と腸 12:1031-1041, 1977
11)冬野誠助,八尾恒良.クリッピング法による胃癌浸潤範囲の判定─X線,内視鏡所見と切除胃肉眼所見,病理組織構築の対比.胃と腸 12:1055-1071, 1977
12)村上忠重,長与健夫,菅野晴夫,他.胃生検─第1部:病理の立場から.胃と腸 5:866-881, 1970
13)望月孝規,中村恭一,市川平三郎,他.胃の良・悪性境界領域病変.胃と腸 10:1494-1510, 1975
14)山形敞一,石川誠,大柴三郎,他.主として細胞診によって診断された早期食道癌の1例.胃と腸 1:259-266, 1966
15)中山恒明,遠藤光夫,太田八重子,他.早期食道癌の1例.胃と腸 2:683-688, 1967
16)中村嘉三,有森正樹,熊谷義也,他.食道鏡検査─食道ファイバースコープを中心として.胃と腸 3:1361-1367, 1968
17)鍋谷欣市,滝川弘志,李思元.日本の早期食道癌の定義,病理,実状,予後について.胃と腸 11:285-292, 1976
18)吉田操,林恒男,鈴木茂,他.食道粘膜二重着色法を用いた食道病変の微細観察─トルイジンブルー・ヨード二重着色法の研究.胃と腸 11:359-365, 1976
19)今月の主題 食道癌の早期診断.胃と腸 20:1275-1362, 1985
20)今月の主題 早期食道癌の問題点.胃と腸 22:1341-1446, 1987
21)今月の主題 食道癌の発育進展─逆追跡症例を中心に.胃と腸 23:1185-1296, 1988
22)幕内博康,町村貴郎,水谷郷一,他.早期食道癌に対する内視鏡的粘膜切除術─EEMR-tube法の実際.胃と腸 28:153-159, 1993
23)小山恒男,菊池勇一,島谷茂樹,他.胃EMRの適応拡大:大きさからみて─一括切除を目指した手技の工夫と成績:Hookingナイフ法with intra-gastric lesion lifting method.胃と腸 37:1155-1161, 2002
24)渡辺英伸,味岡洋一,山口正康,他.大腸腺腫と癌の関係─私の組織診断基準.胃と腸 24:253-259, 1989
25)渡辺英伸,中川悟,遠藤泰志,他.食道扁平上皮の上皮内癌と異形成の組織診断.胃と腸 30:407-416, 1995
26)今月の主題 食道表在癌の深達度診断.胃と腸 45:1437-1569, 2010
27)河野辰幸,大島昌宏,遠藤光夫.内視鏡的超音波診断.胃と腸 30:365-374, 1995
28)今月の主題 大腸・直腸.胃と腸 3:277-391, 1968
29)今月の主題 大腸の早期癌─胃を除く消化器の早期癌(2).胃と腸 5:1343-1440, 1970
30)今月の主題 大腸疾患 最新の話題.胃と腸 8:717-819, 1973
31)丸山雅一,杉山憲義,竹腰隆男,他.大腸のX線診断─ポリープ,早期癌,小さな進行癌を中心に.胃と腸 8:717-732, 1973
32)酒井義浩,芦沢真六.大腸疾患の内視鏡診断.胃と腸 8:733-738, 1973
33)田島強.戸田聖一.Colonofiberscopeを中心とする大腸粘膜の撮り方.胃と腸 5:1429-1435, 1970
34)狩谷淳,水野幸一,間山素行,他.S状結腸癌のX線診断.胃と腸 12:183-191, 1977
35)狩谷淳,林学,間山素行,他.大腸早期癌のX線診断.胃と腸 15:365-373, 1980
36)石沢隆,西満正,野村秀洋,他.大腸多発ポリープに認められたIIc様大腸早期癌の2病変.胃と腸 14:529-535, 1979
37)岡本平次,Shinya Hiromi.Shinya式大腸ファイバースコープ(1)─S状結腸から下行結腸への挿入法.胃と腸 17:1123, 1982
38)八尾恒良.早期大腸癌の今日と明日.胃と腸 29:3(増)2-4, 1994
39)岩下明徳,石黒信吾,下田忠和,他.早期大腸癌の病理診断の諸問題.胃と腸 27:672-689, 1992
40)村上忠重.夜の円卓会議の成果.胃と腸 3:671, 1968
41)藤原侃,広門一孝,八尾恒良,他.陥凹性早期胃癌の診断学的問題点─X線微細診断と肉眼標本所見の関連,肉眼標本所見と内視鏡上の色調および癌の組織型との関連性について.胃と腸 6:157-174, 1971
42)熊倉賢二,丸山雅一,杉山憲義,他.IIb型早期胃癌のX線診断.胃と腸 7:21-36, 1972
43)馬場保昌,杉山憲義,丸山雅一,他.陥凹性早期胃癌のX線所見と病理組織所見の比較.胃と腸 10:37-49, 1975
44)政信太郎,肥後公彦,日高覚,他.IIb病変と近傍非癌粘膜との相異点について─X線診断の立場から.胃と腸 18:591-601, 1983
45)入口陽介,小田丈二,水谷勝,他.微小胃癌に対するX線診断の現状と課題.胃と腸 48:822-834, 2013
46)角嶋直美,小野裕之,田中雅樹,他.微小胃癌における通常内視鏡診断の限界に迫る.胃と腸 48:835-842, 2013
47)今月の主題 微小胃癌の診断限界に迫る.胃と腸 48:781-932, 2013
48)藤崎順子,岡田和久,富田英臣,他.微小胃癌の拡大内視鏡診断の限界に迫る─未分化型微小胃癌の診断.胃と腸 48:857-868, 2013
49)八尾恒良,藤原侃,渡辺英伸,他.胃癌の浸潤範囲の内視鏡診断.胃と腸 7:725-738, 1972
50)八尾恒良,溝口幹朗,岡田光男,他.早期胃癌における内視鏡所見と切除標本所見との対比.胃と腸 23:55-66, 1988
51)門馬久美子,吉田操,山田義也,他.粘膜癌を発見するための内視鏡検査.胃と腸 30:337-345, 1995
52)八尾建史,藤原昌子,長浜孝,他.Narrow-band imaging併用拡大内視鏡による微小胃癌の診断能と限界.胃と腸 48:843-856, 2013
53)木田光広,小林清典,荒木正雄,他.超音波内視鏡診断─今後の展開.胃と腸 39:1651-1660, 2004
54)八尾恒良,藤原侃,渡辺英伸,他.胃癌の浸潤範囲の内視鏡診断.胃と腸 7:725-738, 1972
55)八尾恒良,大串秀明.病理組織構築よりみた深達度診断の問題点.胃と腸 12:1157-1173, 1977
56)二村聡,田邉寛,岩下明德,他.食道表在癌の深達度診断─肉眼病理の立場から.胃と腸 45:1439-1450, 2010
掲載誌情報