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文献詳細

雑誌文献

胃と腸50巻10号

2015年09月発行

文献概要

今月の主題 狭窄を来す大腸疾患─診断のプロセスを含めて 主題

症例7

著者: 石橋英樹1 二村聡2 江口浩一3 冨岡禎隆1 渡邉隆1 青柳邦彦1 星野誠一郎4 向坂彰太郎1

所属機関: 1福岡大学医学部消化器内科学講座 2福岡大学医学部病理学講座 3中村正内科循環器科クリニック 4内藤病院

ページ範囲:P.1304 - P.1307

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症例
 患 者:50歳代,男性.
 主 訴:下腹部痛,下血.
 既往歴,生活歴,家族歴:特記事項なし.
 職業歴:タクシー運転手.
 現病歴:2004年10月下旬,交通事故(運転中,運転手から見て右方向よりトラックに衝突)のため,胸腹部を強く殴打し,近医に救急搬送された.右血気胸に対し加療を受けていたが,呼吸状態が増悪し,当院救命センターに転院した.肺塞栓症と診断し,人工呼吸器管理,抗凝固療法を開始した.転院3日後(受傷後26日目),右大腿部の裂創から膝関節にかけて巨大皮下血腫が出現した.その後,ショック状態となり,急性腎不全を併発した.昇圧剤投与,輸血,持続血液濾過透析療法などの全身管理によりショックから離脱した.12月下旬(受傷後55日目),下腹部痛と下血を認め当科に紹介された.
 初診時現症:身長184cm,体重73kg.血圧154/98mmHg,脈拍90/min,体温37.2℃.眼瞼結膜に貧血あり,眼球結膜に黄疸なし.心音・呼吸音は正常,腹部は平坦・軟,腸雑音は軽度亢進,左下腹部に圧痛を認めた.腹膜刺激徴候は認めなかった.
 血液検査所見:血算では,小球性低色素性貧血(RBC 269万/μl,Hb 9.2g/dl,Ht 29.2%)を示し,生化学検査ではCRP値が軽度に上昇(1.3g/dl)していた.サイトメガロウイルス(cytomegalovirus ; CMV)感染は,CMV IgG 342mg/dl,IgM 0.51mg/dlと既感染パターンであったが,CMV抗原はC7-HRP法で2/50,000個であった.
 便培養:Pseudomonas aeruginosaがごく少量同定された.

参考文献

1)Mays ET, Noer RJ. Colonic stenosis after trauma. J Trauma 6:316-331, 1966
2)山口正康,渡辺英伸,味岡洋一,他.腹部鈍的外傷による腸管損傷例の臨床病理学的検討.日本大腸肛門病会誌 42:1146-1152, 1989
3)松本主之,飯田三雄,廣田千治,他.腹部鈍的外傷後の虚血性大腸狭窄.消内視鏡 9:1729-1733, 1997
4)Marston A. Intestinal Ischemia, 1st ed. Edward Arnold, London, pp 71-83, 132-138, 143-150, 1977
5)Morson BC, Dawson IMP. Gastrointestinal Pathology, 5th ed. Wiley-Blackwell Scientific Publication, Oxford, pp 398-400, 636-637, 2013
6)Ludwig KA, Quebbeman EJ, Bergstein JM, et al. Shock-associated right colon ischemia and necrosis. J Trauma 39:1171-1174, 1995
7)赤本伸太郎,須崎紀一,根来裕二,他.頸部切創による出血性ショック後に虚血性大腸炎を来した1例.Gastroenterol Endosc 47:37-41, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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