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文献詳細

雑誌文献

胃と腸50巻13号

2015年12月発行

今月の主題 大腸鋸歯状病変の取り扱い

主題症例

経過を追えたSSA/Pの癌化例

著者: 中野尚子1 平田一郎2

所属機関: 1藤田保健衛生大学消化管内科 2喜望会谷向病院消化器内科

ページ範囲:P.1723 - P.1729

文献概要

要旨●患者は60歳代,男性.2012年12月の大腸内視鏡検査で,盲腸底部に径20mm大の扁平隆起性病変を認めた.拡大観察では,開II型と伸II型があり,SSA/P由来の腫瘍と思われた.4か月後の再検で,病変中央部に陥凹面を認め,NBI観察では,surface patternは保たれていたが,病変辺縁に通常より口径の太い血管を認め,pit patternは一部VI型軽度不整を疑う所見も認めた.生検でGroup 4であり,内視鏡治療困難な部位のため,手術が施行された.径20×18mm,中分化型腺癌,pSM 800μm,INFβ,ly2,v0,No.202(+)であった.病変の局在が原因で手術となったが,結果としてリンパ節転移まで来しており,SSA/P由来の癌の進展速度が急速である可能性が示唆された症例と考えられた.

参考文献

1)藤井隆広,藤盛孝博.鋸歯状病変の癌化を考えるうえで過形成性ポリープ(HP)からいわゆるSessile serrated adenoma/polyp(SSA/P)は分ける必要があるか?─臨床の立場から(内視鏡診断からHPとSSA/Pを分けるポイント).武藤徹一郎(監),藤盛孝博(編).大腸癌取扱い規約 病理診断上の問題点.大腸疾患now2010特別号,日本メディカルセンター,pp171-180, 2010
2)原岡誠司,岩下明徳,太田敦子.大腸鋸歯状病変の発生と発育進展─鋸歯状腺腫とか形成性ポリープの癌化.胃と腸 42:288-298, 2007
3)八尾隆史,王寺裕,古賀裕,他.鋸歯状病変由来の大腸癌(“serrated carcinoma”)の頻度とその臨床病理学的特徴.胃と腸 42:299-306, 2007
4)浦岡俊夫,加藤順,平岡佐規子,他.過形成性ポリープから発生したと考えられた大腸SM癌の1例.早期大腸癌 12:501-508, 2008
5)長谷川申,鶴田修,河野弘志,他.大腸鋸歯状病変から発生したと考えられる多発大腸癌の1例.胃と腸 46:483-491, 2011
6)長谷川申,鶴田修,河野弘志,他.大腸鋸歯状病変の内視鏡診断─通常内視鏡所見を中心に.胃と腸 46:394-404, 2011
7)藤井隆広,九嶋亮治.大腸鋸歯状病変の癌化を考える.消内視鏡 24:1199-1201, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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