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文献詳細

雑誌文献

胃と腸50巻13号

2015年12月発行

文献概要

今月の主題 大腸鋸歯状病変の取り扱い 主題症例

経時的変化を追えたSSA/P(sessile serrated adenoma/polyp)由来早期大腸癌の1例

著者: 西園雅代12 山野泰穂1 原田拓3 吉川健二郎1 木村友昭4 高木亮1 松下弘雄1 原田英嗣1 田中義人1 中岡宙子1 吉田優子1 菅井有5

所属機関: 1秋田赤十字病院消化器病センター 2札幌厚生病院健康管理科 3手稲渓仁会病院消化器病センター 4迫田病院大腸肛門センター内視鏡部 5岩手医科大学医学部病理診断学講座

ページ範囲:P.1731 - P.1738

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要旨●患者は70歳代,女性.下部消化管内視鏡検査にて,上行結腸に径7mm大の0-IIa型病変を認めた.表面に強固な粘液の付着を認め,インジゴカルミン色素撒布像では,大部分に開II型pitを認めた(後に,この病変がSSA/Pと判明).しかし,結腸内に他に病変が多発しており,他病変と併せて厳重に経過観察する方針とした.14か月後に再検したところ,同病変は肉眼型が0-Is+IIa型に変化していた.腫瘍の大部分でVI型pitを呈しており,粘膜内癌が疑われたため,EMRを施行した.病理診断は,papillary adenocarcinoma with SSA/P,Tis(M),ly0,v0であった.SSA/Pから癌化したと考えられた1例で,表面構造の変化も含め,経過を追えた興味深い症例であった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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