icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸50巻2号

2015年02月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

1年間の経過で急速に増大傾向を示した粘膜下腫瘍様残胃癌の1例

著者: 隅田頼信12 小谷大輔1 宮田誠一1 畑佳孝1 淀江賢太郎1 本田邦臣1 井原裕二1 秋穂裕唯1 長田美佳子3 平橋美奈子3 豊島里志4 中村和彦5

所属機関: 1北九州市立医療センター消化器内科 2国立病院機構九州医療センター消化器科 3九州大学大学院医学研究院形態機能病理学 4北九州市立医療センター病理診断科 5九州大学大学院医学研究院病態制御内科学

ページ範囲:P.204 - P.211

文献購入ページに移動
要旨●患者は70歳代,女性.十二指腸潰瘍で手術歴があり,定期検査のため近医にて上部消化管内視鏡検査を施行したところ,残胃噴門に径6cm大の粘膜下腫瘍(submucosal tumor ; SMT)様隆起を指摘された.精査加療目的で当科へ紹介され,受診となった.表面に白苔を伴い山田III型様の立ち上がりを有する隆起であり,比較的軟らかく,超音波内視鏡検査では第4層まで達する低エコー腫瘤として描出された.病理組織学的には,SMT様隆起の表層は壊死と正常粘膜に覆われ,腫瘍の露出はわずかであり,上皮性の悪性所見に乏しかった.腫瘍細胞は小型の円形〜卵円形核を有する異型の強い細胞で,充実性に増殖し漿膜外まで浸潤を認め,1型の低分化腺癌と診断された.本病変は1年間で9cm大まで増大するという急激な経過を辿り,SMT類似の形態を示し,間質反応に乏しく比較的軟らかい腫瘍のために,胃癌と診断することが困難であった.

参考文献

1)牛尾恭輔.粘膜下腫瘍様の形態を示した消化管癌.胃と腸 38:1491-1494,2003
2)石黒信吾,塚本吉胤,春日井務,他.粘膜下腫瘍様の形態を示す胃癌.胃と腸 38:1519-1526,2003
3)結城豊彦,佐藤匡,石田一彦,他.粘膜下腫瘍様の形態を示した胃癌.胃と腸 38:1527-1536,2003
4)武本憲重,馬場保昌,加来幸生,他.粘膜下腫瘍の形態を示した胃癌のX線診断.胃と腸 30:759-768,1995
5)高橋雅史,二村好憲,当間智子,他.粘膜下腫瘍様の発育形式を呈した胃癌の1例.千葉医学 88:201-205,2012
6)長南明道,望月福治,結城豊彦,他.粘膜下腫瘍の形態を示した胃癌の内視鏡診断.胃と腸 30:777-785,1995

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?