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文献詳細

雑誌文献

胃と腸50巻3号

2015年03月発行

文献概要

今月の主題 胃癌範囲診断における拡大観察のピットフォール 主題症例

NBI拡大観察下にESDを行い,断端陽性となった分化型腺癌の1例

著者: 橋本哲1 小林正明1 水野研一1 竹内学2 佐藤祐一2 寺井崇二2 渡辺玄3 味岡洋一3

所属機関: 1新潟大学医歯学総合病院光学医療診療部 2新潟大学医歯学総合病院消化器内科 3新潟大学大学院医歯学総合研究科分子・診断病理学分野

ページ範囲:P.332 - P.337

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要旨●患者は60歳代,女性.胃X線検診にて異常を指摘され,当科へ紹介となり,受診した.上部内視鏡検査では,胃体下部大彎に約7mm大の不整形陥凹性病変を認め,生検でGroup 5(tub2)の診断であった.通常およびNBI拡大内視鏡を用いて,病変の範囲診断を行い,陥凹部のみ病変と認識しESDにて切除を行った.切除標本の病理組織学的検討で,陥凹部後壁側に高分化〜中分化腺癌の進展を認め,側方断端陽性となり追加手術を行った.粘液形質は胃型優位の胃腸混合型であった.癌表層部は腺窩上皮様の分化傾向を示し,範囲誤診の原因と考えた.通常内視鏡観察で病変の全体像を把握し,詳細なNBI拡大観察を行うことが重要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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