icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸50巻5号

2015年05月発行

文献概要

増刊号 早期消化管癌の深達度診断 2015 序説

消化管癌の通常内視鏡観察による深達度診断

著者: 八尾恒良1

所属機関: 1佐田病院

ページ範囲:P.481 - P.484

文献購入ページに移動
 通常内視鏡観察による深達度診断について,胃癌を中心に,私見を述べる.
 現在の深達度診断能を,ESD(endoscopic submucosal dissection)切除標本の病理診断レベルに近付けるには,以下の取り組みが必要であろう.
 (1)深達度診断には,見つけ出し診断や性状診断,範囲診断とは次元の異なる観察方法,考え方が必要である.ESD治療の可能性がある病変を発見したら,NBI(narrow band imaging)拡大観察終了後,もう一度,深達度診断のための観察を行う心構えが必要である.
 (2)臨床的立場からは現在の“ESD適応条件”には問題が多い.ESDの手技が向上し,多数のESD症例が蓄積された現在,診断に資する要因をもとに深達度診断ではなくESD適応条件の診断学の再構築が望まれる.

参考文献

1)八尾恒良,大串秀明.病理組織構築よりみた深達度診断の問題点.胃と腸 12:1157-1173, 1977
2)馬場保昌.胃癌の深達度診断─胃癌のX線診断の指標.『胃と腸』編集委員会,他編.「胃と腸」ハンドブック.医学書院,pp154-165,1992
3)五十嵐勤,斉藤光正,内海幹郎,他.二重造影像による動的観察からみたIIc型病変の深達度診断.胃と腸 12:1187-1200, 1977
4)八尾恒良,田邊寛,長浜孝,他.胃の陥凹型SM癌の病理組織構築と対比した内視鏡所見─pSM2癌診断のための観察方法と診断限界.胃と腸 43:1109-1125, 2008
5)中原慶太,鶴田修,立石秀夫,他.胃分化型SM1癌(垂直浸潤500μm未満)の診断─500μm以上と対比して─ひだ集中のない陥凹型胃癌に対するX線診断.胃と腸 42:25-38, 2007
6)島岡俊治,松田彰郎,仁王辰幸,他.ESD時代の早期胃癌深達度診断におけるX線検査の役割.胃と腸 49:22-33, 2014
7)伴慎一,佐藤英章,山田正樹,他.病理(マクロ像)からみた早期胃癌の深達度診断.胃と腸 49:8-20, 2014
8)司会 長南明道,小野裕之:座談会「潰瘍合併早期胃癌の内視鏡治療について」.胃と腸 48:83-96, 2013
9)八尾恒良,渡辺英伸.いわゆる“胃潰瘍癌”に関する臨床病理学的検討.胃と腸 11:573-584, 1976
10)海崎泰治,細川治,宮永太門,他.潰瘍合併早期胃癌の病理─切除標本からみた潰瘍合併早期胃癌.胃と腸 48:7-15, 2013
11)Kikuchi S, Sakuramoto S, Kobayashi N, et al. A new staging system based on tumor volume in gastric cancer. Anticancer Res 21:2933-2936, 2001
12)工藤進英,大森靖弘,樫田博史.大腸の新しいpit pattern.分類─箱根合意に基づいたVI,VN型pit pattern.早期大腸癌 9:135-140, 2005
13)山野泰穂,松下弘雄,吉川健二郎,他.完全摘除生検可能な大腸T1(SM)深部浸潤癌の術前診断─拡大内視鏡(pit pattern).胃と腸 49:1015-1023, 2014
14)河野弘志,鶴田修,野田哲裕,他.内視鏡的完全摘除が可能なcSM癌の内視鏡診断.胃と腸 46:1485-1496, 2011
15)帆足俊男,八尾恒良,渕上忠彦,他.早期大腸癌におけるX線学的および内視鏡学的深達度診断の研究.胃と腸 32:1651-1662, 1997
16)津田純郎,菊池陽介,頼岡誠,他.早期大腸癌の深達度診断における通常内視鏡,注腸X線,超音波内視鏡,拡大内視鏡検査の有用性に関する検討.胃と腸 36:769-782, 2001
17)野田哲裕,鶴田修,長田修一郎,他.完全摘除可能な大腸T1─(SM)深部浸潤癌の術前診断.胃と腸 49:1003-1014, 2014
18)富永素矢,斉藤裕輔,藤谷幹浩,他.大腸pSM癌に対する内視鏡治療根治基準の拡大—根治基準拡大の是非について─是の立場から.胃と腸 46:1469-1477, 2011
19)田中信治.大腸T1(SM)癌に対する内視鏡診療の現状と将来展望.胃と腸 49:967-971, 2014
20)藤原純子,門馬久美子,立石陽子,他.日本食道学会拡大内視鏡分類と深達度─深達度診断におけるB2血管の意義.胃と腸 49:174-185, 2014
21)有馬美和子,都宮美華,吉井貴子,他.日本食道学会拡大内視鏡分類と深達度─Type R血管と組織像.胃と腸 49:213-221, 2014
22)座談会「症例検討からみた日本食道学会分類の現状」.胃と腸 49:223-238, 2014
23)吉田操,門馬久美子,葉梨智子,他.食道癌の深達度診断─内視鏡像からみた深達度診断.胃と腸 36:295-306,2001
24)門馬久美子,吉田操,藤原純子,他.食道表在癌の深達度診断─通常観察と色素内視鏡.胃と腸 46:650-663, 2011
25)有馬美和子,有馬秀明,多田正弘.早期食道癌深達度診断の進歩─FICE拡大内視鏡を中心に.胃と腸 43:1489-1498,2008
26)高木靖寛,長浜孝,平井郁仁,他.食道小扁平上皮癌のX線診断.胃と腸 44:1713-1722, 2009
27)小田丈二,入口陽介,水谷勝,他.食道表在癌のX線学的深達度診断─X線造影像にみられる側面変形による深達度亜分類診断の試み.胃と腸 45:1451-1466, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?