icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸50巻5号

2015年05月発行

文献概要

増刊号 早期消化管癌の深達度診断 2015 総論

早期消化管癌の深達度診断─基本と進め方

著者: 斉藤裕輔1 稲場勇平1 富永素矢1 佐々木貴弘1 杉山隆治1 助川隆士1 小澤賢一郎1 垂石正樹1 横田欽一2 藤谷幹浩3

所属機関: 1市立旭川病院消化器病センター 2医療法人社団慶友会吉田病院消化器内科 3旭川医科大学消化器血液腫瘍内科

ページ範囲:P.485 - P.497

文献購入ページに移動
要旨●早期消化管癌に対する深達度診断を行う際には,食道,胃,大腸という癌発生の場による違いを考慮して読影する必要がある.読影・診断すべき所見は,基本的には,隆起,びらん,潰瘍,粘膜の色調である.これらの基本形をもとに大きさと肉眼型を決定し深達度診断を行う.深達度診断の基本として,病変周囲の正常粘膜から読影を開始し,病変境界部の性状を読影した後に,病変の中央部に向かって順に読影を進めることが重要である.病変の中央部分からいきなり読影を開始することは,深達度診断を誤る原因のひとつとなる.(NBI)拡大内視鏡観察は通常観察による深達度の確定診断を目的として,または通常観察で疑問が生じた病変内の限局した部位の精査として行うべきである.同様に超音波内視鏡検査(endoscopic ultrasonography ; EUS)も通常観察や拡大観察を行ってもなお,確定診断が得られない場合に追加することが効率のよい深達度診断法と考える.

参考文献

1)日本食道学会(編).食道癌診断・治療ガイドライン,3版.金原出版,2012
2)日本胃癌学会(編).胃癌治療ガイドライン,4版.金原出版,2014
3)大腸癌研究会(編).大腸癌治療ガイドライン,2012年版.金原出版,2012
4)小平進,八尾恒良,中村恭一,他.sm癌細分類からみた転移陽性大腸sm癌の実態─アンケート調査集計報告.胃と腸 29:1137-1142, 1994
5)斉藤裕輔,富永素矢.腫瘍に対する内視鏡治療の原則.田中信治(編).スキルアップ大腸内視鏡─治療編.中外医学社,pp5-9, 2010
6)大谷吉秀,杉野吉則,熊井浩一郎,他.食道・胃・大腸癌における深達度診断の必要性.胃と腸 36:243-247, 2001
7)丸山雅一,山田弘徳,新井順也,他.消化管の癌の深達度診断総論.胃と腸 36:249-260, 2001
8)Kudo S, Tamura S, Nakajima T, et al. Diagnosis of colorectal tumorous lesions by magnifying endoscopy Diagnosis of colorectal tumorous lesions by magnifying endoscopy. Gastrointest Endosc 44:8-14, 1996
9)Saitoh Y, Obara T, Einami K, et al. Efficacy of high-frequency ultrasound probes for the preoperative staging of invasion depth in flat and depressed colorectal tumors. Gastrointest Endosc 44:34-39, 1996
10)小山恒男.日本食道学会拡大内視鏡分類.胃と腸 49:148-152, 2014
11)吉田操,門馬久美子,葉梨智子,他.食道癌の深達度診断─内視鏡からみた深達度診断.胃と腸 36:295-306, 2001
12)細井董三,入口陽介,大浦通久,他.食道癌の深達度診断─二重造影像からみた深達度診断.胃と腸 36:283-294, 2001
13)高木靖寛,小野陽一郎,平井郁仁,他.食道表在癌の深達度診断.胃と腸 46:634-649, 2011
14)小野裕之,吉田茂昭.胃癌の深達度診断─内視鏡像からみた深達度診断.胃と腸 36:334-340, 2001
15)丸山保彦,島村隆浩,甲田賢治,他.通常・色素内視鏡による早期胃癌深達度診断─大きさ・肉眼型別検討を中心に.胃と腸 49:35-46, 2014
16)江頭秀人,馬場保昌,牟田仁彦,他.胃癌の深達度診断─X線像による深達度診断の指標.胃と腸 36:321-333, 2001
17)Saitoh Y, Waxman I, West AB, et al. Prevalence and distinctive biological features of flat colorectal adenomas in a North American population. Gastroenterology 120:1657-1665, 2001
18)Shimoda T, Ikegami M, Fujisaki J, et al. Early colorectal carcinoma with special reference to its development de novo. Cancer 64:1138-1146, 1989
19)斉藤裕輔,岩下明徳,工藤進英,他.大腸癌研究会「微小大腸病変の取り扱い」プロジェクト研究班結果報告─5mm以下の大腸微小病変の内視鏡治療指針.胃と腸 44:1047-1051, 2009
20)河野弘志,鶴田修,長谷川申,他.早期大腸癌の精密画像診断─通常内視鏡による診断.胃と腸 45:801-809, 2010
21)野田哲裕,鶴田修,長田修一郎,他.完全摘除生検可能な大腸T1(SM)深部浸潤癌の術前診断─通常内視鏡.胃と腸 49:1003-1014, 2014
22)斉藤裕輔,富永素矢,垂石正樹,他.早期大腸癌の精密画像診断─注腸X線診断.胃と腸 45:784-799, 2010
23)Uno Y, Munakata A. The non-lifting sign of invasive colon cancer. Gastrointest Endosc 40:485-489, 1994
24)斉藤裕輔.大腸T1(SM)深部浸潤癌に対する完全摘除生検としてのEMR/ESD─私はこう考える:積極的な立場から.胃と腸 49:1046-1048, 2014
25)田中信治.大腸T1(SM)癌に対する内視鏡診療の現状と将来展望.胃と腸 49:967-971, 2014
26)岡志郎,田中信治,朝山直樹,他.大腸T1(SM)癌に対する完全摘除生検としてのESDの可能性.胃と腸 49:979-989, 2014
27)藤谷幹浩,斉藤裕輔,富永素矢,他.完全摘除生検可能な大腸T1(SM)深部浸潤癌の術前診断─超音波内視鏡.胃と腸 49:1036-1045, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?