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文献詳細

雑誌文献

胃と腸50巻5号

2015年05月発行

文献概要

増刊号 早期消化管癌の深達度診断 2015 総論

早期消化管癌の深達度診断─病理の立場から

著者: 大倉康男1

所属機関: 1杏林大学医学部病理学教室

ページ範囲:P.498 - P.506

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要旨●消化管では癌の拡がりは解剖学的な壁構造である深達度で示される.深達度分類は,食道,胃,大腸のいずれも日本独自の分類が用いられていたが,現在ではTNM分類との整合性が図られている.また,早期癌では亜分類が行われ,浸潤距離の実測値による亜分類が用いられており,その変遷を概説した.浸潤距離という客観的な基準が示されたが,その測定にはさまざまな病理組織学的な問題点が残されている.浸潤距離を基準として用いるためには,計測方法をより明確にしていく必要がある.また,TNM分類との整合性をどのように図っていくのか,深達度に脈管侵襲を含めるかどうかについてもさらなる検討が必要と思われる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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