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増刊号 早期消化管癌の深達度診断 2015 各論 咽頭・食道
病理からみた咽頭・食道表在癌の深達度診断
著者: 根本哲生1
所属機関: 1東邦大学医療センター大森病院病理診断科
ページ範囲:P.507 - P.514
文献購入ページに移動要旨●食道表在癌の深達度亜分類の変遷について概観し,肉眼型と深達度との関連について,これまでに示された症例の蓄積から0-I型と0-III型は深く,0-IIb型は浅いという共通した結論を見い出した.これらはまた中・下咽頭表在癌についても同様の傾向がみられた.T1a-EPとLPMの間の線引きはシンプルで再現性のよい基準を用いる必要があるが,食道と中・下咽頭との整合性を考慮し,実臨床に役立つものという視点も重要と考えられ,病理と臨床との間で検討がなお必要と考えられる.拡大内視鏡観察による血管パターン変化について,病理組織像との対比は技術的に困難な点も多いが,病理と臨床の協力による今後の発展が期待される.
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