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文献詳細

雑誌文献

胃と腸50巻5号

2015年05月発行

文献概要

増刊号 早期消化管癌の深達度診断 2015 各論 咽頭・食道

咽頭表在癌の深達度診断─拡大観察を含めた内視鏡診断

著者: 門馬久美子1 藤原純子1 加藤剛2 宮本昌武2 三浦昭順2 出江洋介2 堀口慎一郎3 比島恒和3 立石陽子4 吉田操5

所属機関: 1がん・感染症センター都立駒込病院内視鏡科 2がん・感染症センター都立駒込病院外科 3がん・感染症センター都立駒込病院病理科 4横浜市立大学医学部病態病理学 5早期胃癌検診協会

ページ範囲:P.515 - P.529

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要旨●当院における2002〜2014年の咽頭表在癌内視鏡治療例は,101例131病変であり,全例,上部消化管内視鏡検査中に発見された.発見方法は,最初の白色光観察が77病変(59%),NBI観察が45病変(34%),通常・NBI観察では不明で,別病変治療時のヨード染色による発見が9病変(7%)であった.咽頭表在癌131病変の病型は,0-I型 5病変(4%),0-I混合型2病変(2%),0-IIa型53病変(40%),0-IIa+IIb型 12病変(9%),0-IIa+IIc型5病変(4%),0-IIb型37病変(28%),0-IIc型14病変(10.5%),0-IIc+IIa型1病変(1%),2型類似2病変(1.5%)であり,隆起性病変が60%を占めていた.上皮内癌が106病変(81%),上皮下浸潤癌が25病変(19%)であり,上皮下浸潤癌のうち,0-I型2例と2型類似2例の計4例(15%)で脈管侵襲陽性であった.深達度診断の正診断率は,上皮内癌94.3%,上皮下浸潤癌では68%であり,平坦な0-IIb型,表面に凹凸のない0-IIa型,周囲に盛り上がりを伴わない0-IIc型が上皮内癌であったのに対し,上皮下浸潤癌は,丈が高い0-I型,隆起内に陥凹を伴う0-IIa+IIc型,辺縁隆起を伴う0-IIc型,2型類似など明瞭な凹凸を伴う症例であった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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