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文献詳細

雑誌文献

胃と腸50巻5号

2015年05月発行

文献概要

増刊号 早期消化管癌の深達度診断 2015 各論 咽頭・食道

食道表在癌の深達度診断─通常内視鏡診断

著者: 島田英雄1 千野修2 西隆之1 葉梨智子2 山本壮一郎3 田島隆行1 名久井実4 小熊潤也4 數野暁人4 新田美穂1 宇田周司3 山崎康4 佐藤慎吉5 小澤壯治4 幕内博康6

所属機関: 1東海大学医学部付属大磯病院外科 2東海大学医学部附属東京病院外科 3東海大学医学部付属八王子病院消化器外科 4東海大学大医学部消化器外科 5東海大学医学部付属大磯病院病理診断科 6東海大医学部付属病院

ページ範囲:P.539 - P.552

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要旨●食道表在癌に対して内視鏡切除術(endoscopic resection ; ER)をした207例を対象に,通常内視鏡観察による深達度診断の精度について検討した.深達度亜分類別の正診率は,T1a-EP/LPM:91.2%(125/137),T1a-MM:66.7%(30/45),T1b-SM1:61.5%(8/13),T1b-SM2:83.3%(10/12)であり,全体での正診率は83.6%であった.浅読み例で最も多かったのは内視鏡診断:T1a-EP/LPMで病理診断:T1a-MMの61.1%(11/18)であった.浅読み例における病理組織学的所見は,粘膜筋板の圧迫や微小浸潤,またT1a-SM1では200μmまでのわずかな浸潤,脈管侵襲,導管内浸潤などであった.一方,深読み例で最も多かったのは内視鏡診断:T1a-MMで病理診断:T1a-EP/LPMの13例:81.2%(13/16)であった.肉眼型は,8例(61.5%)が0-IIa,IIcの混合型であった.深達度診断に画像強調観察,拡大観察が重視されるなか,通常観察による深達度診断精度の維持,向上も今後の重要な課題と思われた.

参考文献

1)Makuuchi H, Shimada H, Mizutani K, et al. Endoscopic criteria for invasive depth of superficial esophageal cancer. Dig Endosc 9:110-115, 1997
2)島田英雄,幕内博康,小澤壯治,他.食道表在癌の深達度診断─通常観察の立場から.胃と腸 45:1467-1481, 2010
3)小山恒男,門馬久美子,幕内博康.内視鏡リファレンスブック2012.食道扁平上皮癌の拡大内視鏡診断─日本食道学会分類の紹介.消内視鏡 24:466-468, 2012
4)藤原純子,門馬久美子,立石陽子,他.食道学会拡大内視鏡分類と深達度─深達度診断におけるB2血管の意義.胃と腸 49:174-185, 2014
5)門馬久美子,吉田操,藤原純子,他.食道表在癌の深達度診断─通常観察と色素内視鏡.胃と腸 46:650-663, 2011
6)千野修,幕内博康,島田英雄,他.内視鏡的肉眼形態と病理組織学的所見からみた0-IIa型食道表在癌の発育進展に関する臨床病理学的検討.胃と腸 47:1369-1382, 2012
7)竹内学,橋本哲,小林正明,他.日本食道学会拡大内視鏡分類と深達度─深達度診断におけるB2血管の意義.胃と腸 49:164-172, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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