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文献詳細

雑誌文献

胃と腸50巻5号

2015年05月発行

文献概要

増刊号 早期消化管癌の深達度診断 2015 各論 咽頭・食道

食道表在癌の深達度診断─拡大観察の有用性と留意点

著者: 竹内学1 橋本哲2 小林正明2 水野研一2 渡邉ゆか理3 渡辺玄3 味岡洋一3 寺井崇二1

所属機関: 1新潟大学医歯学総合病院消化器内科 2新潟大学医歯学総合病院光学医療診療部 3新潟大学医歯学総合研究科分子・診断病理学分野

ページ範囲:P.553 - P.562

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要旨●食道表在癌の深達度診断に際し,さまざまなmodalityを駆使して行うことが重要である.井上・有馬分類を基盤に作成された日本食道学会拡大内視鏡分類による食道表在癌に対する深達度診断は正診率が高く,非常に有用な診断学である.特にB1血管は97.4%,B3血管は91.7%とともに正診率は90%を超え,特異度が高い.しかしB2血管の正診率は70%台であり,従来の通常観察に比べると高い傾向にあるものの,今後はB2血管の正診率をいかにして向上させるかが課題と思われる.さらに,B3血管の感度は40%台と低く,pSM2癌におけるB2血管の出現率が高いことを踏まえ,B2血管とpSM2癌との関連性を見い出すことが大切であると考える.また,病変内の血管形態の変化が最も高度な関心領域のほとんどが,病変全体の最深部を反映していたことより,拡大内視鏡による深達度診断は切除後の正確な病理診断,すなわち追加治療の適切な評価を行うために意義のある診断学と考える.

参考文献

1)日本食道学会(編).食道癌診断・治療ガイドライン,2012年4月版,金原出版,2012
2)Inoue H. Magnification endoscopy in the esophagus and stomach. Dig Endosc 13(Suppl 1):S40-41, 2001
3)Arima M, Tada M, Arima H. Evaluation of microvascular patterns of superficial esophageal cancers by magnifying endoscopy. Esophagus 2:191-197, 2005
4)日本食道学会.食道表在癌の拡大内視鏡分類.2012.≪http://esophagus.jp/download/endoscope_classification≫
5)Oyama T,Momma K. A new classification of magnified endoscopy for superficial esophageal squamous cell carcinoma.Esophagus 8:247-251, 2011
6)竹内学,橋本哲,小林正明,他.日本食道学会拡大内視鏡分類と深達度─深達度診断におけるB2血管の意義.胃と腸 49:164-172, 2014
7)藤井隆広,松田尚久,神津隆弘,他.拡大内視鏡による臨床分類─invasive patternの診断基準.早期大腸癌 5:541-548, 2001
8)Araki K,Ohno S,Egashira A,et al. Pathologic features of superficial esophageal squamous cell carcinoma with lymph node and distal metastasis.Cancer 94:570-575, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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