icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸50巻5号

2015年05月発行

文献概要

増刊号 早期消化管癌の深達度診断 2015 各論 咽頭・食道

食道表在癌の高周波数細径超音波プローブによる深達度診断

著者: 有馬美和子1 都宮美華1 福田俊2 田中洋一2 石川文隆3 黒住昌史3

所属機関: 1埼玉県立がんセンター消化器内科 2埼玉県立がんセンター消化器外科 3埼玉県立がんセンター病理診断科

ページ範囲:P.564 - P.574

文献購入ページに移動
要旨●高周波数細径超音波プローブ(以下,細径プローブ)による食道表在癌の深達度診断精度を,通常観察,拡大観察と比較検討した.通常観察,拡大観察,細径プローブによる深達度診断を行ったのち切除した52例を対象とした.EP/LPM癌では,通常観察と拡大観察で診断が異なる症例に細径プローブを加えると,深部浸潤の鑑別が可能となり有効であった.MM/SM1癌では,拡大観察は通常観察より感度がよいが,B2血管を示す症例に多数のSM2癌が含まれ,的中率が不良であることが問題である.細径プローブは拡大観察ほどの解像度はないが,massiveなSM浸潤を見逃さないことが特徴である.拡大観察はSM2癌の感度が低いことも弱点で,細径プローブは実際の腫瘍量を断面像として捉えることができるため正診率が高かった.細径プローブは表面構造と病変の形態に乖離がある病変,粘膜下腫瘍様の病変など,拡大観察が苦手とする領域を補完するものと考えられ,3者の特性を生かして用いることが大切である.

参考文献

1)藤原純子,門馬久美子,藤原崇,他.食道表在癌の深達度診断─通常内視鏡の立場から.胃と腸 45:1483-1495, 2010
2)有馬美和子,都宮美華.食道表在癌の拡大内視鏡分類.消内視鏡 26:29-32, 2014
3)有馬美和子,多田正弘.食道表在癌の高周波数細径超音波プローブによる深達度診断.胃と腸 47:467-480, 2012
4)川田研郎,河野辰幸,永井鑑,他.食道表在癌の深達度診断─超音波内視鏡の立場から.胃と腸 45:1527-1534, 2010
5)山中恒夫,木村義人,橋本博子,他.EUS層構造の解釈.Gastroenterol Endosc 43:1091-1092, 2001
6)森川丘道,神津照雄,有馬美和子,他:高周波数細径超音波プローブによる食道内ラジアル走査─表在食道癌深達度診断の検討.腹部画像診断 14:604-614, 1994
7)河野辰幸.透明オーバーチューブを使用したSONOPROBE SYSTEMによる内視鏡的食道超音波検査と20MHz超音波像.Gastroenterol Endosc 34:1237-1251, 1992
8)有馬美和子,多田正弘.高周波数細径超音波プローブによる食道表在癌の深達度を誤認させる要因と画像の特徴.胃と腸 39:901-913, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?