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文献詳細

雑誌文献

胃と腸50巻5号

2015年05月発行

文献概要

増刊号 早期消化管癌の深達度診断 2015 各論 胃・十二指腸

病理からみた早期胃癌の深達度診断

著者: 海崎泰治1 宮永太門2 道傳研司2 服部昌和2 橋爪泰夫2 青柳裕之3 伊部直之3 原季衣1 浦崎晃司1

所属機関: 1福井県立病院病理診断科 2福井県立病院外科 3福井県立病院消化器内科

ページ範囲:P.583 - P.591

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要旨●内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)標本および手術標本の肉眼写真を用いて,早期胃癌の深達度診断に利用される肉眼所見の精度を検討した.いずれの肉眼型でも,粘膜下層浸潤を示唆する所見単独では特異度は高いが感度は低かった.しかし,所見を組み合わせて総合判断することで,特異度は高いまま感度が高くなった.特に特異度が高く粘膜下層への深部浸潤を示す所見は,隆起病変では“隆起頂部の陥凹”,癌巣内潰瘍のない陥凹主体病変では“台状挙上”であった.癌巣内潰瘍のある陥凹主体病変では“台状挙上”,“陥凹内無構造”,“ひだの癒合”で特異度が特に高かったが,所見の有無で腫瘍の粘膜下層浸潤距離には大きな差がなかった.早期胃癌の深達度診断は,用いる肉眼所見の特徴や限界を把握したうえで行う必要があると考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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