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文献詳細

雑誌文献

胃と腸50巻5号

2015年05月発行

文献概要

増刊号 早期消化管癌の深達度診断 2015 各論 胃・十二指腸

早期胃癌の深達度診断─X線造影像を用いた深達度診断

著者: 中島寛隆1 山﨑琢士1 尾割道代1 渡海義隆1 天野由紀1 長浜隆司2 榊信廣1 吉田操1

所属機関: 1公益財団法人早期胃癌検診協会 2千葉徳洲会病院消化器内科

ページ範囲:P.593 - P.601

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要旨●胃癌の深達度診断をX線検査の視点から述べた.X線造影像による深達度診断では,癌浸潤によって生じた胃壁の肥厚と硬化といった癌浸潤に直接結びつく所見を“因果関係に基づく所見(癌浸潤の直接所見)”という.これ以外の画像所見で癌浸潤と統計的・間接的につながる所見を“相関関係に基づく所見(癌浸潤を間接的に推測する所見)”という.陥凹型胃癌では,胃壁の肥厚・硬化・粘膜ひだの形態などが癌浸潤との因果関係を示す所見である.隆起型胃癌は腫瘍が粘膜固有層で上方へ増殖し,因果関係に基づく所見を覆い隠すため深達度診断が難しい.そこで隆起型では,病変の大きさ・肉眼型(0-IIa型,0-I型あるいは1型)・組織型などの相関関係を示す所見も合わせて病変の深達度を推測する.X線造影像を用いた深達度診断には,描出された肉眼像と病理組織所見を関連づけることが重要である.

参考文献

1)中村恭一.陥凹型早期胃癌の粘膜下組織浸潤の肉眼所見.胃と腸 17:219-221, 1982
2)馬場保昌.胃癌のX線深達度診断の指標.「胃と腸」編集委員会(編).胃と腸ハンドブック.医学書院,pp154-165,1992
3)中島寛隆,長浜隆司.胃X線造影(gastric roentgenography).胃と腸 47:635-636, 2012
4)奥田茂,三枝達明,児島淳之介,他.早期胃癌の内視鏡診断に際しての癌深達度の推定と胃癌の進展経過に関する内視鏡的考察.胃と腸 4:313-326, 1969
5)藤崎順子,吉本和仁,平澤俊明,他.早期胃癌の深達度診断─深達度診断のための精密検査:内視鏡検査.胃と腸 44:608-622, 2009
6)牛尾恭輔,後藤裕夫,村松幸男,他.消化管癌のX線診断における側面像の意義─二重造影による深達度診断.胃と腸 21:27-41, 1986
7)中島寛隆,大倉康男.早期胃癌の組織型と肉眼像.消内視鏡 26:8:1097-1105, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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