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文献詳細

雑誌文献

胃と腸50巻5号

2015年05月発行

文献概要

増刊号 早期消化管癌の深達度診断 2015 各論 大腸

pit pattern観察による早期大腸癌の深達度診断

著者: 河野弘志1 鶴田修23 上野恵里奈1 澤田昌幸1 野田哲裕2 長田修一郎2 前山泰彦2 光山慶一2 鳥村拓司2

所属機関: 1聖マリア病院消化器内科 2久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門 3久留米大学病院消化器病センター

ページ範囲:P.676 - P.685

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要旨●クリスタルバイレット染色下でのpit pattern観察による大腸腫瘍性病変の診断において,腺腫・Tis〜T1a癌鑑別質診断成績は正診率80%,癌診断の感度43.8%,特異度93.9%であり,癌の深達度診断に関しては正診率84.8%,T1b以深浸潤癌診断の感度77.4%,特異度89.6%であった.病変の洗浄や染色の必要性など,操作がやや煩雑であり,また粘液,病変からの出血などを原因とした染色不良により診断できない症例も存在するが,精度の高い診断手法である.通常観察やNBI拡大観察で癌が疑われ,何らかの治療を行う必要があるような病変に対してはpit pattern観察による質の精査および深達度診断を行うことが望ましい.ただし,pit pattern観察で得られた情報は病変表層という,ごく一部分の情報であることを念頭に置くことが大切である.

参考文献

1)大腸癌研究会編.大腸癌治療ガイドライン医師用2014年度版.金原出版,2014
2)河野弘志,鶴田修,長谷川申,他.早期大腸癌の精密画像診断-通常内視鏡による診断.胃と腸 45:801-809, 2010
3)田中信治,寺井毅,今井靖,他.座談会─V型pit pattern診断の臨床的意義と問題点.早期大腸癌 5:595-613, 2001
4)工藤進英,倉橋利徳,樫田博史,他.大腸腫瘍に対する拡大内視鏡観察と深達度診断─箱根シンポジウムにおけるV型亜分類の意義.胃と腸 39:747-752, 2004
5)林俊壱,味岡洋一,太田宏信,他.SM massive癌診断における間質所見の重要性─「stromal areaの染色性低下」とSA patternの意義.早期大腸癌 11:409-413, 2007
6)工藤進英.大腸pit pattern診断.医学書院,2010
7)池松弘朗,依田雄介,金子和弘,他.NBI拡大観察─capillary patternとpit pattern診断の比較検討.Intestine 13:195-201, 2009
8)樫田博史,和田祥城,三澤将史,他.NBI拡大観察─vascular patternによる腫瘍・非腫瘍,深達度診断の有用性.Intestine 13:202-208, 2009
9)松田尚久,斉藤豊,中島健,他.VI型pit(軽度.高度不整)の亜分類─内視鏡医からみた有用性と問題点.早期大腸癌 11:415-420, 2007
10)佐野寧,田中信治,工藤進英,他.The Japan Expert Team(JNET)大腸拡大Narrow Band Imaging(NBI)分類.Intestine 19:5-13, 2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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