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文献詳細

雑誌文献

胃と腸50巻6号

2015年05月発行

文献概要

今月の主題 知っておきたいまれな胃疾患 主題

まれな胃疾患─臨床の立場から

著者: 赤松泰次1 下平和久2 三枝久能2 宮島正行2 植原啓之2 菅智明3 岩谷勇吾34 藤澤亨5 中村喜行6 沖山葉子7 中村直8

所属機関: 1地方独立行政法人長野県立病院機構長野県立須坂病院内視鏡センター 2地方独立行政法人長野県立病院機構長野県立須坂病院消化器内科 3信州大学医学部消化器内科 4長野市民病院消化器内科 5長野赤十字病院消化器内科 6飯田市立病院消化器内科 7丸子中央病院内科 8安曇野赤十字病院消化器内科

ページ範囲:P.725 - P.735

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要旨●まれな病変の中には,(1)本当にまれな疾患,(2)まれな疾患ではないが非典型像を示す病変,(3)疾患に対する知識や経験がないためにまれにみえる病変,の3つがある.初学者にとっては多くの病変が“まれ”に感じられるが,上級者になるほど“まれ”な疾患と感じる病変をみる頻度は低くなる.一人の医師があらゆる疾患を経験することは不可能なため,学会や研究会に積極的に参加したり,日頃から論文や雑誌を読んだりしてさまざまな疾患を“疑似体験”しておくことが大切である.自分自身が直接経験した疾患でなくても,“疑似体験”したことのある疾患であれば比較的容易に診断することができる.初めてみたような珍しい形態の病変に遭遇した場合,その多くは前述の(2)ないし(3)に相当する.さまざまなモダリティーを駆使して診断に迫ったり,上級者にコンサルトしたりする謙虚さが必要である.本当にまれな疾患に遭遇する機会は,極めて“まれ”である.

参考文献

1)Katsuyama T, Ono K, Nakayama J, et al. Recent advances in mucosubstance histochemistry. In Kawai K(ed). Gastric Mucous and Mucous Secreting cells. Excerpta Medica, Amsterdam, pp 3-18, 1985
2)Akamatsu T, Katsuyama T. Histochemical demonstration of mucins in the intramucosal laminated structure of human gastric signet ring cell carcinoma and its relation to submucosal invasion. Histochem J 22:416-425, 1990
3)佐野量造.胃の肉腫.佐野量造(編).胃疾患の臨床病理.医学書院,pp 257-283,1974
4)赤松泰次,北原桂,白川晴章,他.胃MALTリンパ腫の内視鏡所見─早期胃癌や胃炎との鑑別診断.胃と腸 44:805-812, 2009
5)Broders AC. Tuberculosis of the stomach, with report of a case of multiple tuberculous ulcers. Surg Gynecol Obstet 25:490-504, 1917
6)藤澤亨,福島万奈,倉石章,他.広範な萎縮,びらん,出血所見を呈し,診断に苦慮した自己免疫性汎胃炎(autoimmune pangastritis)の1例.胃と腸 37:1734-1740, 2002
7)Kaneko T, Akamatsu T, Gotoh A, et al. Remission of Menetrier's disease after a prolonged period with therapeutic eradication of Helicobacter pylori. Am J Gastroenterol 94:272-273, 1999
8)Akamatsu T, Nakamura N, Kiyosawa K, et al. Gastric volvulus in living, related liver transplantation donors and usefulness of endoscopic correction. Gastrointest Endosc 55:55-57, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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