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文献概要
今月の主題 知っておきたいまれな胃疾患 主題症例
腫瘍性疾患:比較的早期のスキルス胃癌
著者: 入口陽介1 小田丈二1 水谷勝1 山村彰彦2
所属機関: 1東京都がん検診センター消化器内科 2東京都がん検診センター検査科
ページ範囲:P.736 - P.738
文献購入ページに移動一般的に,スキルス胃癌は,びまん浸潤性胃癌,4型胃癌,LP(linitis plastica)型胃癌などとほぼ同じ意味で用いられていることが多いが,スキルス癌とは,そもそも胃癌のみならず,病理組織学的に癌組織の間質に線維性組織増生が顕著な癌において用いられる用語である.すなわち,癌実質細胞に対して線維性組織から成る間質量が多い癌組織は視覚的にも硬さを感じさせるものであり,また実際に触っても硬いため,“scirrhous(英),skirrhos(希):硬性”と表現されている.また,4型胃癌とは,「胃癌取扱い規約」1)の肉眼型分類の中で,「びまん浸潤型:著明な潰瘍形成も周堤もなく,胃壁の肥厚・硬化を特徴とし,病巣と周囲粘膜との境界が不明瞭なもの」と定義されている.一方,LP型胃癌については,中村ら2)が,病理組織学的表現であるスキルス胃癌の中に早期診断が困難で,肉眼的にleather bottle状(皮革製水筒状)あるいは胃全体が鉛管状狭窄状態となって発見されている極めて予後不良の一群の癌をLP癌であるとしている.
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