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文献詳細

雑誌文献

胃と腸50巻6号

2015年05月発行

文献概要

今月の主題 知っておきたいまれな胃疾患 主題症例

腫瘍性疾患:びまん浸潤型悪性リンパ腫

著者: 平川克哉1 中村昌太郎2 江崎幹宏3 鳥巣剛弘3 池上幸治3 松本主之2

所属機関: 1福岡赤十字病院消化器内科 2岩手医科大学医学部内科学講座消化器内科消化管分野 3九州大学大学院病態機能内科学

ページ範囲:P.765 - P.767

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疾患の概念
 びまん浸潤型悪性リンパ腫は,腫瘍細胞が限局性腫瘤や明らかな潰瘍を形成しないまま,胃壁の広い範囲に全層浸潤した病態であり,特徴的なX線・内視鏡所見を呈する.胃悪性リンパ腫の肉眼分類として,佐野の分類(表層型・潰瘍型・隆起型・決潰型・巨大皺襞型)1)や八尾の分類(表層拡大型・腫瘤形成型・巨大皺襞型)2)が用いられることが多いが,びまん浸潤型は巨大皺襞型のうち広範囲に浸潤したものにほぼ合致する.中村ら3)による文献報告の集計によれば,びまん浸潤型悪性リンパ腫はMALT(mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫509例中62例(12%),高悪性度リンパ腫(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)261例中30例(11%)であり,比較的まれな肉眼型と言える.

参考文献

1)佐野量造.胃疾患の臨床病理.医学書院.pp257-268,1974
2)八尾恒良,中沢三郎,中村恭一,他.胃悪性リンパ腫の集計成績.胃と腸 15:906-908, 1980
3)中村昌太郎,飯田三雄.消化管悪性リンパ腫.日消誌 98:624-635, 2001
4)高津典孝,長浜孝,中村守,他.除菌療法無効でrituximab併用THP-COP療法が奏効した巨大皺襞型胃MALTリンパ腫の1例.胃と腸 42:1267-1275, 2007
5)吉川和彦,前田清,寺尾征史,他.巨大皺襞型胃病変を呈したAdult T Cell Leukemiaの1例.Gastroenterol Endosc 32:1147-1152, 1990
6)白子順子,武知桂史,勝村直樹,他.全身性悪性リンパ腫の胃・十二指腸病変の内視鏡的検討.Gastroenterol Endosc 30:2237-2243, 1988
7)中村昌太郎,松本主之,Hongtao Ye,他.除菌に反応しない胃MALTリンパ腫の臨床および分子病理学的特徴─長期予後を含めて.胃と腸 42:1225-1240, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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