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文献概要
今月の主題 知っておきたいまれな胃疾患 主題症例
非腫瘍性疾患:胃結核
著者: 五十嵐公洋1 角嶋直美1 小野裕之1
所属機関: 1静岡県立静岡がんセンター内視鏡科
ページ範囲:P.788 - P.791
文献購入ページに移動肺外結核はHIV陽性の結核患者の約50%,HIV以外の結核患者の20%に生じるとされる.肺外結核の中でも消化管の結核は6番目の頻度とされ,比較的まれである.また,結核菌がリンパ組織に生着することから想像されるように,消化管での主な罹患部位は,大半がリンパ組織に富む回盲部である.胃は生来リンパ組織を欠いており,胃結核は消化管結核のなかでも非常にまれとされている.症状や内視鏡像は多彩で生検診断によるところも大きく,胃癌と誤診され手術を受けた報告が散見される.胃結核の典型例は幽門前庭部の小彎を中心とする難治性・多発潰瘍であり,進行すると幽門狭窄や壁肥厚を生じ,スキルス胃癌と鑑別を要する病変とされている.
胃結核の感染経路は以下の4つが想定されているが,比較的結核の少ないわが国では(1)に由来する病変が多いものと思われる.
(1)肺結核患者が感染痰を嚥下
(2)粟粒結核での血行性転移
(3)汚染された乳製品の摂取
(4)直接浸潤
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