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文献詳細

雑誌文献

胃と腸50巻6号

2015年05月発行

文献概要

今月の主題 知っておきたいまれな胃疾患 主題症例

非腫瘍性疾患:胃結核

著者: 五十嵐公洋1 角嶋直美1 小野裕之1

所属機関: 1静岡県立静岡がんセンター内視鏡科

ページ範囲:P.788 - P.791

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疾患の概念
 肺外結核はHIV陽性の結核患者の約50%,HIV以外の結核患者の20%に生じるとされる.肺外結核の中でも消化管の結核は6番目の頻度とされ,比較的まれである.また,結核菌がリンパ組織に生着することから想像されるように,消化管での主な罹患部位は,大半がリンパ組織に富む回盲部である.胃は生来リンパ組織を欠いており,胃結核は消化管結核のなかでも非常にまれとされている.症状や内視鏡像は多彩で生検診断によるところも大きく,胃癌と誤診され手術を受けた報告が散見される.胃結核の典型例は幽門前庭部の小彎を中心とする難治性・多発潰瘍であり,進行すると幽門狭窄や壁肥厚を生じ,スキルス胃癌と鑑別を要する病変とされている.
 胃結核の感染経路は以下の4つが想定されているが,比較的結核の少ないわが国では(1)に由来する病変が多いものと思われる.
(1)肺結核患者が感染痰を嚥下
(2)粟粒結核での血行性転移
(3)汚染された乳製品の摂取
(4)直接浸潤

参考文献

1)赤司浩一,藤本一真,澤江義郎,他.内視鏡下生検で乾酪壊死巣を伴う類上皮肉芽腫が認められた胃結核の一例.胃と腸 24:687-692, 1989
2)Genta RM, Graham DY, Dixon MF, et al. Granulomatous Gastritis. Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, 1999
3)Ectors NL, Dixon MF, Geboes KJ, et al. Granulomatous gastritis : a morphological and diagnostic approach. Histopathology 23:55, 1993

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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