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文献詳細

雑誌文献

胃と腸50巻6号

2015年05月発行

文献概要

今月の主題 知っておきたいまれな胃疾患 主題症例

非腫瘍性疾患:Cronkhite-Canada症候群の胃病変

著者: 森下寿文1 蔵原晃一1 八板弘樹1 渡邊隆1 河内修司1 長末智寛1 久能宣昭1 阿部洋文1 原田英1 岩㟢一秀1 大城由美2 小林広幸13 江崎幹宏4 渕上忠彦1

所属機関: 1松山赤十字病院胃腸センター 2松山赤十字病院病理診断科 3福岡山王病院消化器内科 4九州大学大学院医学研究院病態機能内科学

ページ範囲:P.806 - P.809

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疾患の概念
 Cronkhite-Canada症候群(Cronkhite-Canada syndrome ; CCS)は1955年にCronkhiteとCanada1)によって初めて報告された,消化管ポリポーシスに脱毛,皮膚色素沈着,爪甲異常など外胚葉系の消化管外病変を伴う非遺伝性疾患である.その頻度はまれであるが,本邦からの報告が多く,全世界の3/4以上を占める.発症は中年以降に多く,やや男性が多い2)3)
 CCSの病因は不明であるが,発症誘因として身体的疲労,精神的ストレス,感染,薬剤や自己免疫疾患などが想定されている3).病態としては,消化管ポリポーシスと炎症性変化によって蛋白漏出性胃腸症と吸収障害が惹起される.本疾患は初発症状から,I型:下痢,II型:味覚異常,III型:脱毛・爪甲異常,IV型:食欲不振・全身倦怠感の4型に分類されるが,下痢を主徴とするI型が約60%と最頻であり,重度の栄養障害を伴うことが多い4)

参考文献

1)Cronkhite LW Jr, Canada WJ. Generalized gastrointestinal polyposis ; an unusual syndrome of polyposis, pigmentation, alopecia and onychatrophia. N Engl J Med 252:1011-1015, 1955
2)今村哲理,栃原正博,安保智典,他.Cronkhite-Canada症候群.胃と腸 35:361-366, 2000
3)藤田浩史,平田一郎.Cronkhite-Canada症候群.胃と腸 47:807, 2012
4)山本桂子,清水勇一,加藤元嗣,他.Peutz-Jeghers症候群,Cronkhite-Canada症候群での胃ポリープと腺腫.別冊日本臨床 新領域別症候群シリーズNo.11,消化管症候群(第2版)上─その他の消化管疾患を含めて.日本臨牀社,pp236-239,2009
5)松本主之,檜沢一興,中村昌太郎,他.消化管ポリポーシスの内視鏡診断.胃と腸 35:285-292, 2000
6)梅野淳嗣,前畠裕司,中村昌太郎,他.消化管ポリポーシスと胃病変.胃と腸 47:1257-1269, 2012
7)岸昌廣.画像診断道場:Cronkhite-Canada syndrome.胃と腸 47:1722-1725, 2012
8)渡辺英伸,味岡洋一,西倉健.消化管ポリポーシスの病理.胃と腸 35:293-300, 2000
9)菅智明,赤松泰次.若年性ポリポーシス.胃と腸 47:808, 2012
10)垂水研一,西隆司,藤田穣,他.スキルス胃癌と鑑別を要する非腫瘍性疾患─Cronkhite-Canada症候群.胃と腸 45:556-561, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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